<社説>緊急宣言を解除 感染再拡大を懸念する

2021年3月19日 07時24分
 政府は東京、神奈川、千葉、埼玉の一都三県に発令している緊急事態宣言の解除を決めた。しかし、感染者数は微増に転じている。宣言解除が深刻な感染再拡大を招かないか、懸念は消えない。
 新型コロナウイルスの感染拡大防止の観点から、この時点での宣言解除は果たして適切なのか。
 医療態勢への負荷が一部地域で減っていないことを理由に、政府が五日に宣言延長を決めてから二週間が経過した。確かに、医療現場の負担は減り、流行状況を示す指標は改善してはいる。
 しかし、直近一週間の新規感染者数は、東京都や埼玉県では前週に比べて微増傾向にある。
 これから花見や年度替わりの歓送迎会の時期を迎える。感染力が既存株より強いとみられる変異ウイルスの広がりも気になる。
 厚生労働省の専門家組織が再拡大への懸念を示す中での宣言解除は、宣言を続けてもこれ以上の感染防止効果が見込めず、対策の行き詰まりを政府自ら認めたことにもなる。
 緊急事態宣言の解除により社会経済活動が活発化すれば、感染の再拡大が懸念される。既に宣言が解除された関西では新規感染者が増え始めている。愛知県では若者の感染が再び広がりだした。
 昨夏の「第二波」の感染を十分に抑え込めなかったことが、秋から年末年始にかけて大規模な感染拡大を許したのではなかったか。
 宣言を解除しても、感染再拡大時には、法改正で新設された「まん延防止等重点措置」を含む感染防止策を遅滞なく講じるべきだ。政府は宣言解除に至った理由とともに、今後の感染防止策についても説明を尽くさねばなるまい。
 今月初めに宣言の延長を決めた際、一都三県の知事の間で連携が乱れた。同様の混乱が続けば、判断や対応の遅れにつながりかねない。政府と自治体は意思疎通を十分に図り、住民に対して明確なメッセージを発するべきだろう。
 店舗の営業時間短縮の緩和は状況を見極め、段階的に実施する必要がある。その際、十分な経営支援策を講じるのは当然だ。
 感染源を割り出し、クラスター(感染者集団)対策を早期に講じるための積極的疫学調査は、保健所の対応が冬の感染者増に追いつかず十分に機能しなかった。態勢立て直しを急ぐべきだ。
 変異株の監視強化など検査態勢の拡充と併せ、医療機関同士の連携を進めて病床確保を図るなど、対応力向上にも努めてほしい。

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