「花見は控えて」インスタ映えの目黒川に自粛呼びかける看板とテープ

2021年3月19日 19時32分

新型コロナ感染拡大防止のため、目黒川沿いに設置された花見の自粛を呼びかける看板=19日、東京都目黒区で

 都心の川面をピンクに染める光景が話題となり、東京屈指の人気花見スポットとなった目黒川沿いが、よそよそしい雰囲気になっている。「花見はお控えください」。新型コロナウイルスの感染が収まらない中、行楽客の殺到を防ぐため、目黒区などが設置した看板が20枚以上並ぶ。商店街関係者からは「緊急事態の解除で密になるのが心配だが、1年に1度の書き入れ時を失うかも」と複雑な声が上がる。(山下葉月)
 東急東横線の中目黒駅近くの目黒川。両岸約4キロにわたり、800本ほどのサクラの木が並ぶ。周辺にはおしゃれなカフェやレストランが集まり、平日でも若者や親子連れでにぎわう。開き始めた花をスマホで撮る女性たちの姿が見られた。
 穏やかな光景とは裏腹に、並木のそばには朱色で「花見は控えて」と書かれた看板が立つ。英語や中国語、韓国語も併記されている。岸のベンチはロープ張られ、座れなくなっていた。
 看板は今月中旬、区や警察、商店街で組織する「目黒川桜開花期間安全対策協議会」が設置した。
 区や東急電鉄によると、2018年3月下旬~4月上旬のサクラの開花期間中、300万人以上が中目黒駅で乗降した。コロナ感染が広がっていた昨年、都や区は花見の自粛を呼び掛けたが、開花期間中の乗降客は150万人を超えた。
 区の担当者は「緊急事態宣言中でも目黒川沿いの人出は多く、気の緩みを感じた。21日に宣言が解除されたら、もっと人が押し寄せるのでは」と懸念。青木英二区長は「花見自粛を強くお願い申し上げたい」と動画サイトで呼び掛けた。
 中目黒商店街連合会の本橋健明会長によると、花見客は2010年代前半から急増。川沿いの桜並木は静かな住宅街に囲まれ、穴場的な場所だったが、ツイッターやインスタグラムで情報が拡散した。「コロナ前は花見シーズンだけで、数カ月分の家賃が払える店もあった」(本橋さん)という。
 一方で、渋滞や路上での酒盛り、ごみの放置に対する住民の苦情は絶えなかった。
 住民の女性(85)は「そもそも住宅街の公道に数100万人が集まるのは異常ではないか」と指摘。「コロナ禍をきっかけに『観光公害』の問題も考えてほしい」と訴える。

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