「五輪で回復できると思ったのに‥」 海外客の見送り決定、宿泊・観光に追い打ち

2021年3月21日 06時00分
 東京五輪・パラリンピックで海外からの観戦客受け入れを見送ることが20日、正式に決まった。インバウンド(訪日外国人旅行者)を当て込んでいた都内のホテルや観光業者からは「大打撃だ」とため息が漏れる。(梅野光春、原田遼)

2019年4月、外国人観光客でにぎわう浅草寺仲見世商店街。周辺では五輪に向けホテルや簡易宿泊所の建設が相次いでいた=東京都台東区で

◆「『おもてなし』はどこに行ってしまったのか」

 「五輪で少しでも原状回復できると思っていたのに…。招致時に掲げた『おもてなし』はどこに行ってしまったのか」。浅草寺(台東区)のすぐ脇で旅館「浅草指月」を経営する飛田克夫さん(83)が肩を落とす。
 和風の客室やお風呂が売りで、コロナ禍前は外国人客であふれていたが、現在は客室の稼働率が1割を下回る。「もともと日本人が魅力を持つような造りではない」と、国内の観戦客の利用はあまり期待できず、「五輪特需」は望み薄という。
 「海外に『日本は危険』という印象を与えてしまう。コロナが収束し、観光客の受け入れが再開した後も当分人は戻ってこないかもしれない」。飛田さんは影響が長引かないかも気掛かりだ。

◆「予約キャンセルどうなる」

 観客とは異なり、各国の要人や競技団体の役員は大会関係者として入国が可能となっているが、それに対しても組織委員会は人数を最低限にするよう求めている。
 中央区日本橋の「住庄ほてる」は組織委と契約し、五輪期間中に全83室のうち約30室に関係者が宿泊する予定。角田隆社長(52)は「こんな状況で本当に開催できるのか。予約のキャンセルはどうなるのか」と不安を隠さない。

◆「暗闇は今後も続きそう」

 コロナ禍前は海外からの観戦客は100万人規模と想定され、観光地への波及効果も期待されていた。東京都ホテル旅館生活衛生同業組合の須藤茂実事務局長(68)は「感染状況が悪い東京への観光は国内でも敬遠されている。コロナ禍で廃業が既に40件に上った。暗闇が今後も続きそうだ」と見通す。
 「インバウンドを見越してインストラクター増員や施設拡充など投資をしてきた。延期になり、今年こそはと思っていた」。浅草などで人力車ツアーや日本文化体験講座を企画する「時代屋」の藤原英則代表(65)もそう残念がる一方、「最悪、無観客でも開催すればムードが盛り上がるので、国内客向けの企画を考えたい」と前を向いた。

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