【独自】ニチイ、フィリピン女性寮を抜き打ち調査 下着など撮影、人員削減狙いか

2021年3月23日 06時00分
家事代行業に就くため多数のフィリピン人女性を採用していたニチイ学館(本社・東京都千代田区)=9日、都内で

家事代行業に就くため多数のフィリピン人女性を採用していたニチイ学館(本社・東京都千代田区)=9日、都内で

 国家戦略特区での家事代行業に就くため「ニチイ学館」(東京)に採用され来日したフィリピン人女性の一部が所在不明になった問題で、同社が2月中旬、女性たちが住む従業員寮約20カ所を抜き打ちで一斉調査したことが分かった。一部では同意なく引き出しを開けたり、部屋干しの下着の写真を撮ったりなどしたといい、女性たちは「プライバシーや人権侵害では」と訴える。(望月衣塑子)
 同社関係者やフィリピン人女性によると、同社の日本人従業員は二人一組で、2月16日の午前と午後の2回、関東・関西地方と名古屋市にあるニチイと契約したフィリピン人女性が住むシェアハウス約20カ所を訪問。不在の人の持ち物も含めてベッドや引き出しの中を調べたり、写真を撮ったりして在宅勤務の態度や服装、整理整頓の様子などをチェックしたという。
 部屋干ししている下着の写真を撮られた人もいたといい、ある女性は「下着姿の人もいる中、携帯電話もチェックされるなど、プライベートな部分にも入り込まれ、その後何人かが雇い止めになった。人減らしの理由をつくろうとしているようにしか見えない」と話した。

◆契約解除の口実か

 関係者によると、抜き打ち調査は、家事支援事業の業績悪化に伴う、フィリピン人女性の人員削減のためだったとされる。結果は本社に報告され、在宅態度が「悪い」と評価された女性は、後日面談の上で「本人の過失」として、定期試験と同様に雇用契約更新の際の判断材料にする予定だったという。
 ニチイは本紙の取材に「個別に回答することは差し控える。悲しい思いをした元スタッフがいることを重く受け止め、真摯に対応する。相談窓口の設置とともに対話に向けて調整を進めている」と回答した。事業を管理する内閣府は「事実関係を調べ、問題があれば、第三者管理協議会を通じて指導していきたい」と話した。

◆日本に残る選択肢用意を

 外国人の労働問題に詳しい京都大の安里和晃准教授は「ニチイが事業の需要を喚起できず、労働者に待機時間があったのであれば、『抜き打ち検査』で懲罰的に帰国を迫るのではなく、日本語能力試験などの目標を設定して特定技能に切り替えられるように対策を練るなど、日本に残るための選択肢も用意すべきだ」と批判した。

国の家事支援事業 高齢者の介護や家の掃除など家事支援の仕事をする目的での外国人の入国は原則認められていないが、東京など国家戦略特区として定められた1市5都府県では、国家資格取得など一定の条件を満たせば在留資格を認めている。ニチイは事業を管理する内閣府や自治体などからなる第三者管理協議会から稼働率の低さを指摘されたことなどから、206人と契約更新しなかった。

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