ウイグル弾圧「圧倒的な証拠ある」米国など対中制裁

2021年3月23日 21時59分
 【ワシントン=金杉貴雄、パリ=谷悠己、ロンドン=藤沢有哉】米国と欧州連合(EU)、英国、カナダは22日、中国が新疆ウイグル自治区で深刻な人権侵害に関与したとして、同自治区の共産党幹部らに制裁を科した。18、19両日に行われた米中外交トップ会談で、人権問題などを巡り決裂したことを受け、バイデン米政権が欧州などと連携して中国への圧力を強めた形だ。
 制裁は4人(米国はうち2人に昨年制裁済み)に対してそれぞれの域内で資産の凍結などを行うもので、米英とカナダ、オーストラリア、ニュージーランドの5カ国は共同声明も発表した。
 声明では、中国が同自治区で宗教の自由の制限、収容所での大量拘束、強制不妊手術など幅広い弾圧を行っていることは、中国政府の文書、衛星画像、目撃証言を含め圧倒的な証拠があるなどと断言。中国にウイグル族など少数民族への弾圧をやめるように求めた。
 ブリンケン米国務長官は22日、「国際的に非難が広がる中、中国が新疆ウイグル自治区でジェノサイド(民族大量虐殺)や人道に対する罪を続けている」と強く批判。1989年の天安門事件以来の対中制裁に踏み切ったEUのボレル外交安全保障上級代表も記者会見で、中国側による対抗の制裁措置に「受け入れられない。人権侵害に対抗するEUの決意に何の影響も与えない」と話した。
 米アラスカ州で行われた米中外交トップ会談では、北朝鮮問題や気候変動問題では協力の可能性を残しながら、米側が最も重視したウイグルの人権問題や香港の民主派弾圧、台湾や周辺国への圧迫に対しては、中国側が「ゼロ回答」で、事実上物別れに終わった。
 特にウイグルでの人権侵害は米国やオーストラリア議会などが「ジェノサイド」と認定しているのに対し、中国は「今世紀最大のうそだ」と強く否定している。
 ただ、中国側はウイグルでの自由な報道を厳しく規制し、実態を明らかにしていない。このため米国などは共同声明で、国連研究者や記者、外交官などを妨害なく受け入れ、説明責任を果たすことも要求した。

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