公示地価 上昇率、阿佐ケ谷駅周辺が首位 商業地、店主ら「実感ない」

2021年3月24日 07時25分

商業地の地価上昇率1位になった杉並区阿佐谷北1丁目

 二十三区の公示地価では、銀座など都心の商業地で下落幅が大きかった一方、上昇地点の大半は周辺部だった。時短要請で都心の飲食店が打撃を受けるなど、コロナ禍が人の動きを大きく変えたことの影響も少なくないとみられる。

■期待感表れ

 JR阿佐ケ谷駅近くの杉並区阿佐谷北一付近は、上昇率が都内の商業地で最も高くなった。調査地点は阿佐谷新進会商店街内にあり、同商店街振興組合の加盟店の男性によると、街の賑わいに直結する飲食店は少ないものの「人出はかなり減った」といい、コロナ禍の影響は小さくないという。男性は「阿佐谷は駅近くで何でもそろい、物価も安い。それが上昇の要因だろうか」と話す。
 駅近くの不動産会社の男性は「地価上昇の目に見える根拠はない」と戸惑う。地価を押し上げる大規模な再開発や商業施設開業などはなく、コロナ禍で減った人通りも回復していない。一方で男性は「実感はないが、街の発展につながれば」と今後に期待する。
 不動産コンサルティング会社「さくら事務所」(渋谷区)の長嶋修会長は「地価が上がりすぎた都心部に対して、将来的に地価が上昇していくだろうという期待感の表れだと思う」と分析する。銀座など一等地の伸び率はすでに鈍化傾向にあるといい、「鈍化は中心部から外に広がっていく。阿佐谷はその円の外側にあり、まだ伸び率が鈍化する場所ではない」と話した。

■タワマンが押し上げ

 足立区は、区部の商業地の上昇率上位八地点のうち四地点を占めた。
 上昇率二位だった足立区千住二丁目の周辺には最近、地上三十階建てのタワーマンションが建設された。地元の不動産会社の担当者は「このマンションができた影響が大きい」と上昇の要因を分析する。
 ただ、新型コロナウイルス感染拡大の影響で苦境に立たされている飲食店も多い。千住二にある居酒屋の店長の男性は「時短営業で売り上げは落ちている。地価上昇の実感はないね」と語った。

■在宅勤務も影響か

 商業地で都内最大の下落率となった中央区・銀座。新型コロナに伴う売り上げ減が高地価地域への進出の妨げとなり、不動産需要を押し下げて地価下落につながったとみられる。
 二百五十の店舗や企業でつくる「銀座通連合会」の事務局担当者は「テレワーク普及の影響が出たと思う。特に夜は人通りが少なく、飲食業に大きな影響が出ている」と受け止めた。
 区の担当者は「銀座に限らず区内ほとんどの地域が影響を受けている。新しい日常に向けた経営改革や業態転換に専門家から助言をもらう費用を助成したりと、区としてできる支援をしたい」と話す。 (西川正志、砂上麻子、井上靖史)

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