<Q&A>福島原発事故の処理費21.5兆円 負担は家庭や企業に

2021年3月25日 06時00分
 政府が計21・5兆円と見込んだ東京電力福島第一原発の事故処理費の多くは、最終的には家庭や企業の電気料金などを元手に支払われます。東電の株主や債権者である銀行ではなく、事故後に生まれた若者や外国人も含む消費者に負担させる構造は矛盾を抱えています。(妹尾聡太)
 Q 事故処理費とはどんなお金ですか。
 A 政府は(1)廃炉(8兆円)(2)賠償(7・9兆円)(3)除染(4兆円)(4)除染作業で取り除いた土壌を管理する中間貯蔵施設の整備(1・6兆円)に分類。事故後の10年間で計13・3兆円が支払われました。このうち廃炉の費用は東電が自社の利益から積み立てて拠出しています。
 Q 賠償や除染などの費用の支払いはどうなっていますか。
 A 国の予算や借金で先に支払った後、東電などが事実上の「返済」をしていきます。政府は事故処理を加速させるため、一部の「返済」を電力各社の負担や税金などで賄い、東電の負担を軽くしました。
 賠償は、他の原子力事業者も互いに助け合うとの考えから、東電や関西電力など11社が年に計約1600億円の「一般負担金」を拠出しています。昨年10月には事故後に設立された新電力の負担などが加わりました。このお金は電気料金に盛り込まれます。東電だけは、利益から出す「特別負担金」も年に数百億円ずつ支払っています。
 除染費は、政府が認可法人を介して保有する東電の株式を売却した利益で支払う想定です。ただ見込み額の4兆円を工面するには、東電の経営を向上させ、株価を今の4倍の1500円程度にしないといけません。
 中間貯蔵施設の整備にかかった費用は、電気料金に上乗せされている「電源開発促進税」の一部を流用し、毎年470億円ずつ回収されています。
 Q 月々の電気代に事故処理費はいくら含まれているのですか。
 A 明示されないので正確には分かりません。ただ、東電の販売電力量と「一般負担金」から計算すると、東電と契約して毎月300キロワット時を消費している家庭の場合、「一般負担金」と「電源開発促進税」を合わせて月に100円弱程度とみられます。東電の「特別負担金」や廃炉費用も電気料金が元になっていると考えれば、東電の契約者の負担はもっと多くなります。
 Q この負担はいつまで続くのですか。
 A 今の支払いペースなら、あと30年程度で終了します。しかし、廃炉は難航する懸念が強く、電気料金に含まれる「一般負担金」は、別の原発事故にも備えるお金として徴収が続きます。政府は公的資金を投じて東電株を保有することで東電を救済し、株主や銀行の責任を問いませんでした。その一方で過失のない国民にツケを回し続けようとしています。

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