安倍氏に後任打診するも固辞されていた 森氏が明かす会長交代の舞台裏とは

2021年3月25日 21時16分
 東京五輪の聖火リレーのスタートにあたり、東京五輪・パラリンピック組織委員会の前会長の森喜朗氏(83)が、本紙の取材に応じ、安倍晋三前首相(66)に後任の会長を打診していたことを明かした。安倍氏は今秋までに行われる次期衆院選に向けた政治活動を理由に固辞したという。(田嶋豊)

衆院本会議で言葉を交わす安倍晋三官房長官(左)と森喜朗前首相(2006年撮影)

 「ある程度の道筋をつけた後、安倍さんに代わってもらえばとの思いがあった」。それは当時、首相だった安倍氏にも伝えていた。
 森氏は2014年1月に組織委会長に就任。15年3月にがんが発覚してからも、国際オリンピック委員会(IOC)をはじめ、政財界や諸外国との交渉、調整役を務めていた。
 「安倍さんの任期が延び、私もオプジーボで命を助けてもらい、タイミングが合わなかった」。森氏はそう振り返る。
 今年2月、女性を巡る不適切な発言で引責辞任する際、安倍氏に相談した。「これまでにも『私の後任に』と言っておいたから、儀礼的にも話をしたんです」

◆次期衆院選に向け「お断り」

 その後、安倍氏の秘書から「お断りしたい」との伝言を受け取った。森氏によると、安倍氏は次期衆院選に向け、派閥の若手議員を支えることに身を尽くしたいとのことだった。森氏は「安倍さんは、いま役職がないが、組織委の会長に就けば時間も拘束される。派閥を第一に考え、むしろありがたいことだ」と考える。衆院選後、改めて派閥を率いるよう期待した。
 後任の会長ポストについては有力候補に川淵三郎氏(84)の名が上がったが、選考過程が不透明との批判から一転、受け入れを辞退し、事態は混迷。円滑な準備などを考えると、もう橋本聖子前五輪相(56)しかいなかった。
 森氏を「政界の父」と慕う橋本氏。森氏もまた亡くなった長男と同い年の橋本氏を娘のように思う。ただ五輪憲章がうたう「政治的中立性」の担保が課題だった。「ロンドン五輪の組織委会長で、貴族院議員だったセバスチャン・コー氏の前例があった」。IOCのバッハ会長の了承を取りつけ、橋本氏が議員辞職せずに会長職に就く地ならしをした。

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