「10時間で休憩30分だけ」 米アマゾンで初めての労働組合結成の動き佳境に 倉庫労働者が窮状訴える

2021年3月26日 06時00分

2月9日、米南部アラバマ州ベッセマーのアマゾン倉庫前で、組合の結成に賛成票を投じるよう呼び掛ける小売り産業の労働組合「RWDSU」の男性=AP

 【ワシントン=吉田通夫】米インターネット通販大手アマゾン・コムで初となる労働組合の結成に向けた動きが注目されている。米南部アラバマ州の倉庫労働者が本社社員との所得格差の是正などを求め、同倉庫で働く6000人に組合結成の是非を問う郵便投票を実施。29日に締め切られ、30日の開票で過半数の賛成が集まれば結成される。
 倉庫労働者の窮状は世界共通で、格差是正を掲げるバイデン米大統領の支援も追い風に労組結成の動きが広がる可能性がある。
 「10時間のシフトで30分の休憩しかなく、激しいトレーニングのよう」。同倉庫で働くジェニファー・ベイツさんは17日、米議会上院の予算委員会の公聴会で訴えた。「仕事が遅ければ解雇される可能性があるが、そうした不安定な雇用状況について本社のだれとも話す機会がない」

◆数十万人が働くも、組合なく所得格差広がる

 米国内のアマゾンでは数十万人が働くが、組合はない。求人サイトのインディードによると、アマゾンの倉庫労働者の時給は15ドル(約1600円)程度で募集しており、週40時間働いても年収は約340万円。対して社内教育のカリキュラムをつくる社員は年収11万110~16万ドル(1100万~1700万円)で募集しており、所得格差は大きい。
 特に新型コロナウイルスの感染拡大で、倉庫労働者の仕事は増えた。このためアラバマ州ベッセマーの倉庫労働者たちは労働環境の改善を要求。米国のルールに基づき、小売り産業界でつくる労働組合「RWDSU」に加盟するかを決める郵便投票を2月に始めた。

◆アマゾン側は結成を妨害、バイデン大統領は支援

 アマゾンはこれまで組合の結成を妨害してきたといい、今回も「組合を悪者にする会議を開いたり、倉庫の至る所に組合に反対する看板を立てている」(ジェニファーさん)という。
 これに対し、格差是正を掲げるバイデン大統領は2月28日、「労働者は組合をつくる権利があり、経営陣が是非を決めることではない」と、労組結成を支援する考えを示した。
 アマゾンは本紙の質問に回答していないが、米メディアによると「従業員による組合の結成などの権利を尊重している」とコメントしている。

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