厚労省のコロナ対策「通知・連絡」1年余で1000件超 現場困惑「把握しきれない」

2021年3月26日 06時00分
 新型コロナウイルス対策を巡り、厚生労働省が自治体などに出した通知・事務連絡が累計で1000件を超えた。法的な拘束力はないが、内容が次々と更新され、周知が徹底されず、現場の混乱を招く弊害が指摘される。(市川千晴)
 通知と事務連絡は地方自治法に基づく文書。電子メールで一斉送信される。主な内容は、法の解釈や運用に関する「技術的な助言」だ。国と地方を対等と位置付ける地方分権一括法を踏まえ、従うかどうかは自治体などに委ねられている。

◆差し替え頻発、1日10件以上も

 コロナ対策についての通知・事務連絡は、本紙の集計では、国内で感染者が確認された昨年1月以降、自治体・医療機関に約770件、介護事業所に約150件、障害福祉サービス事業所に約150件が出された。内容はワクチンの輸送方法や副反応の報告手順、病床確保に関連した補助金制度の案内、検査態勢のあり方など多岐にわたる。
 国の考えを迅速に伝えることができるため、1日10件以上を出す場合がある。内容の差し替えも多い。

新型コロナ対策をめぐり、厚労省から出された通知や事務連絡の書類

 ワクチンに関する通知では、1月8日付で優先接種する医療従事者らの範囲を「医師、看護師、薬剤師、保健所職員、救急隊員ら」と明記したが、2月3日付で「訪問看護職員ら」を追加。同16日付では「助産師、医学部生、接種会場のスタッフら」にも広げた。

◆「国の関与が必要」

 東京都内の自治体関係者は、差し替えの多さに「全てを把握しきれない」と困惑を隠さない。昨年9月まで厚労相を務めた加藤勝信官房長官も記者会見で「多数の通知が発出され、しっかり読むことすら難しいという声もいただいている」と弊害を認めた。
 昨夏には、厚労省が感染者情報を共有するシステム「HER―SYS(ハーシス)」の利用促進を連絡したが、個人情報保護条例に基づく情報の外部流出防止と、国に感染者情報を提供することとの整合性などが問題となり、各地で自治体のシステム参加が遅れた。
 明治大の田中秀明教授(行政学)は「コロナは緊急事態なので国の関与が必要だ」と指摘。自治体に判断を委ねる通知・事務連絡で対応を促すのではなく、必要な対策は国が法律で整えるべきだと強調した。

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