<東日本大震災10年>SNSで情報素早く さいたま・南区の防災会活用 訓練でコロナ禍課題探る

2021年3月26日 07時13分

コロナ禍で想定される課題を探るため実施した防災訓練で、あいさつする馬場さん(中央)=さいたま市南区で(太田窪4丁目自主防災会提供)

 東日本大震災は甚大な被害をもたらした一方で、多くの人の防災意識を高めた。さいたま市南区の太田窪(だいたくぼ)四丁目自主防災会は、災害時の情報伝達の手段を増やそうと、会員制交流サイト(SNS)を積極的に活用。正確な状況を素早く伝え、より安全で円滑な避難につなげようと模索している。 (寺本康弘)
 「あのときフェイスブックやラインがあったら」。太田窪四丁目の自治会と自主防災会の会長を兼ねる馬場洋三さん(77)は、自戒を込めて語る。
 震災の発生当時、馬場さんは催しに参加するため東松山市にいた。状況が落ち着くとすぐに車で自宅を目指したが、幹線道路は渋滞でほとんど進まず、帰宅した時は深夜になっていた。その間、携帯電話で何度か自宅に連絡を試みたが、午後九時すぎまでつながらず不安を抱き続けた。
 太田窪四丁目はJR浦和駅や南浦和駅に近い住宅地。木造家屋が密集し、地震による火災が懸念される地域でもある。震災時、馬場さんは家族の安否だけでなく、地域の状況を知る手段もなかったことで「何とも言えないパニックのような気持ち」に陥ったという。
 幸い目立った被害はなかったが、その時の教訓から自主防災会の活動の柱に「情報の共有・認識の共通化を平時・非常時ともに最優先する」と掲げた。誰でも使いやすく、情報発信も容易なフェイスブックに自治会のページを作成。「フェイスブックは電子掲示板。リアルタイムで情報を発信できる」と馬場さん。不慣れな人のために回覧板など従来の連絡方法も残しつつ、「使えるデジタルツールは全部使う」とラインやツイッターも活用する。
 災害発生時は、一時的に避難する公園の様子や、指定避難所の小学校の状況をいち早く情報共有することにしている。また、日ごろから防災訓練の実施日時や、地元の道路や通学路の安全に関する情報を紹介。住民に見てもらえるページを目指し、防災意識の向上にもつなげたい考えだ。
 コロナ禍で大勢で集まりにくい状況が続く中、役員の会合もオンラインでする予定で、馬場さんは「今の状況でつながりをつくるためにはデジタルツールしかない」と言う。一方で「今、大きな地震が来たらどうするか」と昨年十二月に防災訓練を実施。避難場所の公園に到着した人の検温や手指の消毒をしたところ、想定より時間がかかることが分かった。
 震災から十年という節目に限らず、新しい環境に対応するため、防災会も変化しながら備えを更新。いざという時に備えている。

関連キーワード


おすすめ情報

埼玉の新着

記事一覧