宮﨑香蓮の大人の社会科見学 株式会社山野楽器

2021年4月14日 12時02分

女優・宮﨑香蓮が老舗の企業をご紹介します!


女優・宮﨑香蓮が、インタビューから原稿の執筆まで全てを手掛ける連載コンテンツ「大人の社会科見学」。今回は、古くから銀座に本店を構える「山野楽器」を取材。音楽の楽しさを日本中に拡げるため取り組んできたこと、そして今目指していることについてお聞きしました。

「音楽は世界の共通言語」という思いが山野楽器の原点

 銀座の楽器屋さんといえば「山野楽器」。銀座4丁目の交差点近くにある大きなビルを目にしたことがある方も多いのではないのでしょうか。
 山野楽器の前身は1892年に創業した「松本楽器」という企業です。ピアノやオルガンの製造を行っていた「松本楽器」に、山野政太郎氏が代表社員として就任したのは1909年のこと。ここから「山野楽器」の歴史が始まります。

山野楽器・広報宣伝部の須永由美子さん。プライベートではロックバンドのキーボードを担当しているそうです。

 山野氏は、カルフォルニア大学を卒業し、アメリカで日本人向けの事業を行っていた実業家です。日本でビジネスに携わるため、1905年に帰国しました。帰途の船上で、演奏会が開催された時、お互いに言葉の通じない人々が音楽の力で交流している姿を見て、「音楽は世界の共通言語だ」と感動したそうです。

ピアノなど楽器演奏の経験のある宮﨑さん。この取材を通じて、再び楽器に挑戦してみようという気持ちが出てきたとか。

 山野氏は音楽家ではありませんでしたが、この体験をきっかけに、日本の音楽業界の発展に尽力していきます。まず松本楽器の販売部門を任され、経営立て直しに大きく貢献します。1909年に代表社員に就任し、1915年には「山野楽器」(当時は「山野楽器店」)と社名を改めてスタートしました。1912年には雑誌「月刊楽譜」も創刊しており、音楽文化の普及にも尽力していきます。ちなみに「月刊楽譜」は現在も発行されている「音楽の友」の礎となった雑誌です。

宮﨑さんは学生のころ吹奏楽部でトランペットを担当していたとか。「銀色のトランペットもカッコいいですね!」と目を輝かせていました。

 銀座の街で営業を始めた山野楽器ですが、1923年関東大震災が起こります。山野楽器も店舗焼失という甚大な被害を受けました。焼け野原となった銀座の仮店舗で営業していたものの、楽器だけでは商売を続けていけない、と一時はカフェの経営も考えたとか。そんな、ある日「ハーモニカはありませんか?」と若い男性が山野楽器を訪れました。この男性は、とあるお店で留守番をしている間、時間を持て余してしまったそうです。そこで、留守番中にハーモニカでも吹いて明るい気分になろうと思ったのだとか。山野氏は、この出来事を通じ、困難な状況の中でも音楽は必要とされていると確信しました。そして、もう一度「音楽」と向き合い、音楽一筋で経営を続けようと決心したのです。
 その後1945年の空襲でも銀座の店舗は焼失してしまうのですが、すぐさま営業所を再開。困難な時代でも音楽で、人々を照らし続けたのでした。

お店や教室を通じて楽器演奏の楽しさを伝えていく


マンドリンに初挑戦。ギターより高い音域の透明感のある音が特徴です。

 戦前からレコードや蓄音機を販売し、1960年代にはギターメーカーであるフェンダー社の日本代理店になるなど、日本に様々な音楽文化を広げてきた山野楽器。現在の本店ビルが完成したのは1991年のことです。その際、フルートに詳しい社員が多かったこともあり、初心者用からプロ用まで幅広い品揃えのフルート売り場ができました。今では世界一のフルート売り場と称されるほどで、海外からプロの奏者が来日すると立ち寄ることも多いとか。

山野楽器オリジナルのキャラクター「Hooちゃん」。足の裏には音符のワンポイントが。

 1998年には日本で初めて、大人のための音楽教室を開設しました。一人で演奏するだけでなく、みんなで合わせる楽しさを体験してほしいと、アンサンブルコースにも力を入れています。音楽教室が主催する年1回の発表会で、生徒さんたちはブルーノート東京やサントリーホールで演奏するチャンスもあり、この音楽教室の大きな特徴になっています。

クラシックの楽曲を中心に楽譜の取り扱いが豊富なところも山野楽器ならでは。

 教室の生徒さんたちは、ほとんどが初心者。中には60歳から楽器を始めるという方も。そこには商品の販売だけでなく、音楽の普及に尽力した創業者の精神が受け継がれています。
 山野楽器本店の各フロアを見学させていただいたのですが、スタッフのみなさん、とても優しいんです。初めて触る楽器もあったのですが、初心者に寄り添って説明をしてくださる。「この楽器を始めてみようかな」という勇気をもらえました。楽器に触れてもらう機会を増やし、音楽の楽しさを一人でも多くの人に伝えたいと、どのセクションにも必ず、初心者用の楽器を置いているそうです。音楽を通して社会貢献をすることが山野楽器の使命だと言います。初心者からプロまで受け入れてくれる山野楽器。これからも音楽の楽しさを日本中に伝え続けていくんだろうな、と感じました。
取材後記
銀座本店の上にあった創業者の山野政太郎氏の自宅では、音楽サロンのようなものを開催しており、作曲家や音楽評論家などに無料でレコードを聴かせていたそうです。慶応大学応援歌「若き血」を作った堀内敬三氏や「赤とんぼ」作曲の山田耕筰氏なども訪れていたそうですよ。お店の外でも音楽文化の発展に大きく貢献したんですね。
コロナ禍の影響で増えたおうち時間に、楽器を始める人も急増したそうです。中でも山野楽器ではアコースティックギターが一番売れたのだとか。次に売れたものは、なんと防音室!たしかに大きな音が出せないときに必須ですもんね。山野楽器さんでは商品として防音室も取扱っているんですね。楽器に関わるあれこれなんでも揃っているのは流石です。わたしも昔、習っていたピアノを再開したくなりました......。今度、山野楽器にキーボードを見に行こうっと!

DATA 山野楽器 銀座本店
3Fは弦楽器サロンや楽譜を扱うフロア。4FではジャズやクラシックのCDや映像作品を取り揃えている。5Fはフルートサロンと管楽器のフロア。6Fはピアノフロアであり防音室の相談コーナーも開設している。7Fはイベントスペースとなっている。
住所 東京都中央区銀座4-5-6
山野楽器公式ホームページ


PROFILE
宮﨑香蓮(みやざき かれん)
1993年11月20日生まれ。2006年「第11回全日本国民的美少女コンテスト」演技部門賞を受賞し、女優として活動中。NHK大河ドラマ『花燃ゆ』ではヒロインの幼馴染・入江すみ役として出演するなど、いま活躍を期待される若手女優の代表格。
【プロフィール】
●テレビ朝日・木曜ミステリー「遺留捜査」出演(滝沢綾子 役)
●「ショートショートフィルムフェスティバル&アジア2020」ジャパン部門ノミネート作品 「BENTHOS」主演(美嘉 役)
●東京2020オリンピック聖火リレー 長崎県内走行聖火ランナー

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