LINE、利用者への配慮欠く「個人情報管理する企業の責任重い」 中国技術者に閲覧権限問題

2021年3月27日 06時00分
 無料通信アプリ「LINE(ライン)」の利用者情報が中国の関連会社から閲覧できるようになっていた問題は、LINEの個人データに対する管理意識の薄さを浮き彫りにした。LINEをはじめ、生活に密着したサービスを提供するIT企業の多くが利用者の個人データを扱っており、識者は「IT企業の社会的責任は重い」と指摘する。(嶋村光希子)

甘いLINEの情報管理

 LINEは、中国の関連会社の技術者に利用者の氏名や電話番号の情報を閲覧できる権限を与えていた。また、メッセージをやり取りする「トーク」に投稿された画像や動画のデータや、スマートフォン決済「LINEペイ」の決済情報を韓国で保管していた。
 出沢いでざわ剛社長は23日の記者会見で「信頼を裏切ることになったことを非常に重く受け止めている」と陳謝。中国からのアクセスを遮断し、韓国で保管していた各データは今年9月までに日本に移転する対応策を示した。
 中国や韓国での個人情報の漏えいや不正アクセスはなかったという。ただ、国家の要請があれば、情報提供するよう事業者に義務付けた国家情報法のある中国では、LINE利用者の個人情報が中国当局に渡る恐れがあった。

◆LINE使うサービス、次々停止

 情報漏えいの不安から、LINEを使ったサービスを停止する行政や企業が相次ぐ。総務省はLINEによる採用活動や意見募集の運用を停止。千葉県も新型コロナのワクチン接種予約を含む住民サービスのアカウント4件を停止した。
 厚生労働省が案内するLINEを使った悩み相談窓口のうち、NPO法人東京メンタルヘルス・スクエアも20日から中止。LINEからの相談が全体の8割を占めるだけに、担当者は「相談者が孤立しないか不安。家族や友人にも言えない情報があらわにならないよう、安全性を強化してほしい」と望む。民間でも、トレンドマイクロが関連サービスを停止した。

◆規約には記載があったものの

 個人情報を第三者に提供したり、国外に持ち出すこと自体は利用者の同意があれば、違法ではない。LINEも個人データの移転を規約に記載していた。しかし中国や韓国といった国名は示さなかったことが利用者の不安を招いた。出沢社長は「ユーザーの分かりやすさ、感覚として『気持ち悪い』という点への配慮が欠けていた」と述べた。
 来春にはデータの移転先の明記を義務付ける改正個人情報保護法が施行される。LINEだけでなく、IT事業者には丁寧な説明が求められることになる。
 ITジャーナリストの石川つつむ氏は「データを扱う企業はサービスを提供する上で、個人情報をどう使うかを利用者に十分説明し、理解を得ることが社会的責任になる」と述べた。

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