「女子野球のまち」でセンバツが開幕 性別に関係なくプレーできる環境づくり

2021年3月27日 06時00分
 甲子園で熱戦を繰り広げている男子に続き、女子の春のセンバツ「全国高校女子硬式野球選抜大会」が27日、埼玉県加須市で開幕する。男子に比べて競技人口も注目度も圧倒的に少ない女子野球だが、6年前からホストを務める同市は官民挙げて応援。性別にかかわらずプレーできる環境整備に取り組み、「女子野球のまち」として知られる存在になっている。(寺本康弘)

 2019年の全国高校女子硬式野球選抜大会で熱戦を繰り広げる選手たち=埼玉県加須市の加須きずなスタジアムで(加須市提供)

 市と女子野球の関係は2010年、市内で開かれた第1回全日本ユース選手権大会から始まった。平成国際大(同市)で女子硬式野球部監督を務め、全国高校女子硬式野球連盟代表理事の浜本光治さん(65)が発案した大会だった。
 浜本さん自身、元は男子チームの監督で、女子野球と向き合ったのは01年に市内の花咲徳栄高校で女子硬式野球部の監督を任されてから。連盟の初代事務局長、四津浩平さん=故人=に教えを請うた。
 四津さんは世間に「女子が野球なんて」「あざができたら嫁に行けない」と非難されながら、1990年代に全国大会を私財を投じ開催した人物。会った浜本さんは「女の子に野球をやらせてあげたいという優しさと無私の心」を感じ、情熱を加須へ持ち帰った。
 当時、女子高校生の全国大会はあったが、女子中学生にはなかった。小学時代は学童野球で男子に交じって活躍しても、中学生になると体格や体力の差で出場機会がなくなり、野球をあきらめていく。
 「社会人や大学生のチームと試合をする中学生もいたが、大差がつく上、大人の強い打球は危険。年齢に合う場を用意してあげたかった」と浜本さんは振り返る。

女子硬式野球の普及に情熱を注ぐ浜本光治さん=埼玉県加須市の加須きずなスタジアムで

 ユース大会は定着し、15年には春の選抜大会の誘致に成功。市も主催に加わり、市民体育館の一角に「女子硬式野球ミュージアム」を開設した。
 さらに3年前、市はメイン会場の球場を、女子の全国大会にふさわしくしようとリニューアルした。電光掲示板やスピードガンを備えるほか、女子トイレには、きれいな洋式の個室を4室整備した。
 昨年にはプロ野球埼玉西武ライオンズ公認の女子チーム「埼玉西武ライオンズ・レディース」が同市を本拠地に決め、全日本女子野球連盟は初の「女子野球タウン」として加須市を認定した。
 性別で制限されずに野球ができる世の中へ。浜本さんは「加須から虹が架かるように各地へ女子野球が普及していけば」と願っている。
 選抜大会には、北海道から鹿児島まで33チームが出場する。今回は新型コロナウイルス感染防止で無観客での開催。準決勝(4月1日)と決勝(2日)はインターネットで中継される予定だ。

PR情報

国際女性デーの新着

記事一覧