町工場の仰天計画がついに完結 新成人4300人に1本1万円の本革ベルト届けた

2021年3月27日 07時23分

青木克徳区長(手前)に、ベルトに込めた思いを語る長沢ベルト工業の長沢猛臣社長=葛飾区で

 葛飾区の新成人に本革ベルトをプレゼントしようと計画した長沢ベルト工業(葛飾区堀切3)が、賛同した人たちの支援を受け、4300人全員への贈呈を成し遂げた。コロナ禍で例年通りの成人式がかなわなかった新成人からは「良い思い出になった」と感激する声が上がった。(加藤健太)

◆下町でベルト一筋54年

 長沢ベルト工業は1967年の創業以来、ベルトの製造一筋。「人生の門出をコロナ禍で迎える新成人に希望を抱いてもらいたい」と、2代目社長の長沢猛臣さん(46)がベルトの寄贈を区に申し出た。
 当初は成人式の式典会場での手渡しを想定し、新成人4300人のうち式典参加が見込まれた2500人分を用意。だが、年明けに新型コロナウイルスの感染拡大で緊急事態宣言が出され、式典は中止に。手渡せなかったベルトは郵送することになり、「それなら全員に」と4300人分を作ることにした。

◆会社の資金は底をついていた

 とはいえ、すでに2500本分の材料費で300万円を投じており、会社の資金は使い切っていた。1800本追加するには260万円の材料費がかかる。インターネットで資金を募るクラウドファンディングを通じ、すがる思いで支援を呼び掛けた。
 共感の輪は広がり、約130万円の支援が寄せられた。ネットのコメント欄には「すてきな取り組みに心を打たれた」と激励の言葉があふれた。材料費の不足分は長沢さんが個人資金を充てた。
 贈ったベルトは革の裁断からバックル(留め金)の取り付けまで熟練の職人たち手作りの看板商品。革製品ながら体の形状に合わせて伸び縮む特性があり、店頭では1万円前後で販売している。男性には3センチ幅を、女性には2センチ幅を用意した。

新成人に贈られた本革ベルト

◆新成人の反応は…

 新成人の手元には3月中旬ごろに届いた。大学生の田中諒さん(20)は「一生に一度のイベントが中止になって落ち込んだが、気持ちがこもったプレゼントをもらい、良い思い出になった」と喜んだ。ある保護者は「感動して涙が出た」とお礼の手紙を送った。
 区からは感謝状が贈られ、長沢さんは25日、区役所を訪れた。青木克徳区長を前に計画を振り返り、「大変なことも多かったが、新成人に喜んでもらえて全て吹っ飛んだ」と話した。

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