<国吉好弘の埼たまNOW>守備の安定が急務 大宮、苦難のスタート

2021年3月28日 07時12分

風雨の中、アウェーで戦ったSC相模原戦(大宮アルディージャ提供)

 この原稿を書いている26日の時点で、J2大宮アルディージャは苦難の中にいる。
 初戦こそ水戸ホーリーホックに逆転勝利し好スタートを切ったが、その後は3連敗。ホームでの開幕戦となったヴァンフォーレ甲府戦では0−2で完敗と言っていい内容。続くホームでの京都サンガ戦は0−1とリードされた時点で雷雨のため試合が中止された。
 第4節のアウェーでのSC相模原戦は激しい風雨の中で行われ、風上に立った前半に矢島輝一のゴールで先制しながら終盤に追いつかれ、アディショナルタイムに逆転されるショッキングな敗戦。さらに3日後の24日に京都との延期試合が前半19分から行われ、前半のうちにネルミン・ハスキッチのゴールで追いついたが、後半は相手にペースを握られて終盤にPKを献上し1−2と敗れた。
 今シーズン就任した岩瀬健監督は、かつて浦和レッズとアルディージャでプレー。指導者としては浦和で育成年代に携わり、柏レイソルでトップチームのコーチ、シーズン終盤に監督の退任から2試合監督を務めた。大分トリニータでは昨シーズンまでヘッドコーチとして監督を支えた。トップチームの監督としてシーズン前からチーム作りを手掛けるのは初めてとなる。
 就任会見や開幕前のインタビューで「勝つこと」にこだわるサッカーをすると宣言した。サッカーのスタイルにはこだわらず、「(ボールを支配して攻撃する)ポゼッションも堅守速攻も(勝つための)一つ。必要であればやる。相手のプレッシャーが弱ければシンプルにビルドアップで入っていけるし、スペースを見ながらプレーしていく。キーワードはスペース。相手のスペースによって自分たちのサッカーを変えていく」と臨機応変、柔軟なサッカーを「勝つため」にやると話した。
 ここまでの戦いを見る限り、言葉通りサッカーのスタイルは見えてこない。唯一の勝利を挙げた水戸戦で後半にルーキーの柴山昌也と黒川淳史を投入し流れを変えて逆転に成功したのは良かったが、甲府戦、京都戦ではボールを支配され、相模原戦ではメンバーを大幅に入れ替えていた事情はあるにせよ、主導権を握りながら最後はスタミナと集中力を欠いた。
 結果論ではあるが、相手の方が勝つためのサッカーをしたと言われても仕方がない。まだ順位を気にする時期ではないが、第4節を終えて18位は苦しい。今シーズンは22チーム中4チームがJ3へ自動降格することになっており、その圏内の一つ前にかろうじて踏みとどまっている状況だ。相当の危機感を持って当たらなければ取り返しのつかないことになる。
 まず毎試合失点しているディフェンスの安定が急務だろう。勝つためのサッカーをするなら、ここは絶対に欠かせない。臨機応変にやるとはいっても簡単に失点しないことは大前提だ。攻撃に関しては前出の柴山をはじめ、横浜F・マリノスから期限付き移籍してきた松田詠太郎、奥抜侃志、黒川ら若く可能性にあふれたタレントが多い。しかし、彼らの中から誰か大きく成長して突き抜けた存在が現れることも必要だ。
 雷雨での中断、暴風雨の中でJ3からの昇格チームにアディショナルタイムに逆転負けと波乱にとんだ幕開けとなったが、これが苦しいシーズンを象徴する前触れなのか、あとから厳しい警告だったと振り返ることができるのか。生半可な戦いはできない。 (サッカージャーナリスト)

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