[楽しい反すう] 東京都板橋区 澤口桂子(77)

2021年3月28日 09時39分

◆わたしの絵本

イラスト・まここっと

◆300文字小説 川又千秋監修

[館内案内] 千葉市花見川区・会社員・53歳 我妻高

 ホテルのフロントにて。
 「すみません、和食レストランはどこでしょうか」
 「和食レストランでしたら、ロビーを抜けて本館に向かって真っすぐに進み、左に曲がりますとエレベーターホールがございます。右奥のエレベーターで5階に上ったフロアの左奥です」
 「うーん…ちょっと覚えきれないので、地図はありますか?」
 「案内リーフレットが、そこの棚にございますので、ご利用ください」
 「ありがとうございます…えーと、わかりづらいなぁ…」
 「他に、ご用は?」
 「大変言いにくいのですが、和食レストランまで誰か一緒に連れてってもらえますか」
 「少々お待ちを。フロントの方! こちらのお巡りさんを、和食レストランまで案内してあげて!」

 <評> 迷路のように入り組んだ大規模ホテルを舞台に、文字小説ならではのトリッキーな結末。でも、読者には、もうひとつ謎が残ります。いったい、問題の和食レストランでは、何が起きているんでしょう?

[体重計] 愛知県東浦町・自営業・55歳 都築秀明

 「わっ、減ってる」
 体重計に乗って嘆く息子。野球部の彼には致命的だ。
 どんぶり飯と、おかず目いっぱい。もうこれ以上は無理というまで嫌々かき込んでる。
 お茶わん半分の俺を尻目に。
 「わっ、また増えた」
 中年は、ちょっと油断すると体重はうなぎ上りだ。
 くそぅ! 俺も好きなものを毎日腹いっぱい食べたい。俺らをいじめて、そんなに楽しいか。
 体重計が憎くなってきた。
 嫌われたくなければ、体重計よ! 俺が腹いっぱい食って、貴様に乗ったら、貴様は俺のカロリーを吸い取って息子に注入する。
 これで、ウィンウィンだ。
 今日も俺は体重計に乗る。こんな夢を乗せて。

<評> 同じカロリーでも、育ち盛りと親の世代では、身体の受け止め方に大きな違いがありそうです。体重計の忖度(そんたく)を期待して、おなかを引っ込めてみても表示は変わりません。そろそろ、本気でダイエット!?


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