「五輪に見放された」義足の元プロレスラー 聖火リレーで再出発

2021年3月28日 21時00分
 東京五輪の聖火リレーは28日、栃木県でスタートした。福島県に続いて2県目で、聖火は関東に入った。ランナーは日本最古の学校とされる史跡足利学校(足利市)周辺の石畳や、本堂が国宝の鑁阿ばんな寺(同)境内などを走った。栃木県内では29日まで、192人が174区間の計35・7キロで聖火をつなぐ。
 栃木県での出発は、足利市の陸上競技場。県内最初の聖火ランナーは、タレントの勝俣州和くにかずさん(56)だった。走り終えて「多くの人が元気になってほしいと思いながら走った」と振り返った

◆高校時代の思い出の地で「五輪最終章」

聖火のトーチを手に走る谷津嘉章さん=栃木県足利市で(代表撮影)

 「石畳がちょっと怖かったな」。多くの友人に見守られて足利学校前の石畳を聖火ランナーとして駆け抜けた義足の元プロレスラー谷津嘉章やつよしあきさん(64)は、大役を終え、すがすがしい表情で振り返った。
 群馬県明和町生まれ。足利市は、レスリングの強豪・足利工大付高(現・足利大付高)時代に体を鍛え抜いた思い出の地だ。
 レスリングで1976年モントリオール五輪フリースタイル90キロ級に出場し、8位。不完全燃焼だった。24歳で代表に選出され、メダルも期待されていた80年モスクワ大会では、日本がボイコットした。「谷津ってやつは五輪に見放された男」が口癖になった。
 プロレス全盛期の1980年代、起死回生のジャーマン・スープレックス・ホールドでファンを魅了した谷津さんは一昨年6月、小さなけがが膿み、糖尿病の影響もあって右ひざ下7センチから先を失った。失意の中、再出発のきっかけとして聖火リレーを選んだ。
 「1年間、本当にきょうが来るのか不安だったが、自分の五輪最終章を飾れた。新たな一歩を踏み出したい」とにっこり笑った谷津さん。義足プロレスラーという新境地を開拓する決意だ。(梅村武史)

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