「自宅で手軽な副業」に気をつけて 「荷受け代行」で詐欺被害、コロナ禍で20倍に

2021年3月29日 06時00分

ツイッターでつぶやかれている「荷受け代行」の勧誘

 自宅に届いた荷物を転送するだけで報酬がもらえる「荷受け代行」のアルバイトに応募した人が、身分証などの個人情報を悪用され、勝手に携帯電話を契約されるケースが急増している。2019年は18件だったが、コロナ禍で仕事を失うなどして家にいる人が多くなった昨年は345件と20倍近くになった。そうした携帯電話がニセ電話詐欺に使われる場合もあり、警視庁は注意を呼びかけている。(井上真典)
 荷受け代行は数年前から、手軽な副業として主婦や会社員に広まっているが、警視庁の担当者は「まっとうなところはほとんどない」と話す。
 犯罪グループはコロナ禍で在宅率が高いことに目を付け、会員制交流サイト(SNS)上で「コロナ禍で自宅でできる」「荷受け代行。1件3000円」などと募集をかけている。
 同庁犯罪抑止対策本部によると、荷受け代行のアルバイトに申し込んだ人は、免許証などを撮影した画像を身分証として送信するが、犯罪グループはこれを悪用して携帯電話を勝手に契約しているという。
 犯罪グループが身分証を悪用し、契約していたのは、NTTドコモなどから通信回線を借りている仮想移動体通信事業者(MVNO)の格安携帯。多くは店舗を持たず、契約はインターネット上で完結する。携帯電話は身分証記載の住所に送られ、アルバイトに申し込んだ人は荷受け代行の仕事と思って、自宅に届いた携帯電話を犯罪グループに転送する。
 同本部の担当者は「『副業』『自宅で簡単』などとキャッチーな言葉で誘うが、犯罪に巻き込まれる可能性がある」と警告する。

◆200万円被害 ニセ電話詐欺にも使われて

 「免許証を送ってしまった自分にも落ち度はあるが、許せない」。荷受け代行のアルバイトに応募し、勝手に名義を使われて約20台の携帯電話を契約された北海道の50代女性は怒りをあらわにした。
 女性は昨年1月、知人から「良いバイトがある」とLINEのチャットグループに誘われた。「事情があって家族に知られたくない荷物を受け取る仕事。ある程度たまったら、指定の場所に送るだけ」と説明を受けて応募した。その際、身分確認用として免許証の画像をメールで送った。
 昨年3~7月、自宅に届いた携帯電話や化粧品などを指定された神奈川県内の住所に送って計12万円を受け取った。コロナ禍でホテルの接客の仕事を失っており、「少しでも足しにしたかったので、大変助かった」と振り返る。
 しかし、同9月ごろから、計約20台の携帯本体の代金や違約金などとして携帯電話会社から約200万円を請求された。女性は返済できず、弁護士と相談して自己破産する考えだ。
 自分名義で購入された携帯電話が悪用され、昨年10月、東京都東村山市に住む80代の高齢女性が300万円をだまし取られたと、警視庁の捜査員から聞かされた。女性は「自分も被害者ですが、(ニセ電話詐欺の)被害に遭った方がいるので複雑です」と声を落とした。

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