明大に日本一のマンガ図書館 2館を集約 所蔵41万点

2021年3月29日 07時01分

マンガ雑誌のバックナンバーを紹介する明大国際日本学部の森川嘉一郎准教授

 明治大には世界最大級のマンガやアニメ、ゲームの研究拠点を作る構想がある。計画したのはもう十年以上も前。しばらく大きな進展はなかったが、最近、歯車が動いた。都内二カ所に分かれていた大学運営のマンガの図書館を千代田区の駿河台キャンパスに集約。資料数は計四十一万と日本一の規模に。さっそく調べ物や、貴重な雑誌を求めて愛好家が訪れている。
 週刊少年ジャンプ、サンデー、なかよし…。多くの少年少女が手にしたであろう有名雑誌が並ぶ。同キャンパスにある「米沢嘉博記念図書館」はバックナンバーなど十四万点を収める。そこに、二十七万点の資料を持つ「現代マンガ図書館」も新宿から移ってきた。蔵書の厚みはぐんと増した。

千代田区の駿河台キャンパスに集約された明治大学の米沢嘉博記念図書館と現代マンガ図書館

現代マンガ図書館の閉架書庫。新宿から移された27万冊もの資料を保管する=明治大提供

 マニアの願望は、この一カ所でかなり満たされそうだ。「単行本に収容されなかった作品がないか昔の雑誌を調べに来た。マージャンを扱ったマイナーな雑誌で、国会図書館にも納本されていなかったが、ここにバックナンバーがあった」。リニューアル初日の三月十九日に訪れた都内の編集者小池顕久さん(48)は満足そうだった。
 単行本ならマンガ喫茶で全巻読むこともできるが、雑誌のバックナンバーは、そうそうない。「一冊に収められた複数のマンガから時代を探れる」と雑誌の意義について関係者は口をそろえる。著名なマンガの下書きや原画もある。二館合わせて四十一万点は京都国際マンガミュージアム(京都市)の三十数万点を上回り国内最大級となった。
 もともと米沢図書館は世界最大級の同人誌即売会「コミックマーケット」の育ての親でマンガ評論家の故米沢嘉博さんの蔵書を集め、母校の明大に二〇〇九年に開館。現代図書館は国内最初の「マンガ図書館」を一九七八年に新宿区で私設した故内記稔夫(ないきとしお)さんのコレクションだ。拠点化に賛同した内記さんが〇九年、明大に運営を託した。
 「同人誌やSF、風俗などサブカルチャー、マンガに隣接するさまざまな蔵書を多数そろえる米沢図書館。一方の現代図書館は昭和三十年代を中心とした貸本マンガがたくさんある。国会図書館にないものが多い。幅広い蔵書をワンストップで閲覧いただけるようになった」。国際日本学部の森川嘉一郎准教授(49)は胸を張る。

閲覧室にはさまざまなマンガが並べられている

◆目指すは世界一

 明大が〇九年に計画した構想は、マンガやアニメ、ゲームの世界最大級の資料を持ち、サブカルチャーに関心を持つより多くの人に利用してもらえる新しいマンガ図書館を一四年に新設する−だった。時は二一年。遅れている理由を森川准教授は語る。
 「想定していなかったような非常に多くの寄贈の提案があった。既存施設の改修では収まらないため、新たな施設計画も視野に入れつつ準備を進めている」。多くの人が関心を寄せ、膨大な資料の保存を期待されての“じらし”なのだろう。
 二館の集約は目標への大きな前進だ。記念式典に参加した米沢さんの妻英子さん(65)は「夫も内記さんもマンガをきちんと文化として残したいと語り合っていた。二人の思いがつながり、いろいろな時代のマンガをいつでも読める場所になってくれればうれしい」と喜ぶ。
 拠点化を進める意義について、あらためて森川准教授は説く。「日本のマンガはディズニーのような幅広い家族層向けとは違う。読み手の年齢や性別、職業などをはっきり意識して書かれた。その時代に何が流行し、読者の心にどう刺さってきたか。子どもらが欲してきたことの変化を細やかに記録し、読者層や価値観の変化を表した現代史の歴史資料なんです」
 文・井上靖史/写真・市川和宏
<明治大のマンガの図書館> 千代田区神田猿楽町1の7の1にある米沢嘉博記念図書館(地上7階、810平方メートル)に、新宿区早稲田鶴巻町にあった「現代マンガ図書館」の機能を集約。どちらも蔵書の大部分を周辺倉庫などに保管する閉架式で、2階の閲覧室で1冊110円で請求して読む。閲覧室の利用料金は18歳以上が1日330円、同未満110円。18歳以上の1カ月会員は2200円、1年6600円。開館時間は月・金曜日が午後2時〜同8時、土日祝日は正午〜午後6時。火水木曜日は休館。
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