国連事務総長候補、市民のネット投票で選ぼう 若手運動家が呼びかけ

2021年3月29日 20時07分
 【ニューヨーク=杉藤貴浩】来年から2期目の国連事務総長を目指すグテレス氏の対抗馬を、世界中の一般市民によるインターネット投票で推薦する運動が始まっている。発案したのは2人の若者で「事務総長選びは世界が民主主義を考える最高の機会」と訴える。大国による不透明な選出過程を疑問視し、初の女性トップの実現も訴えている。

オンラインインタビューで国連事務総長選びへの市民参加を訴えるアンドレア・ベンゾンさん

 運動を始めたイタリア出身のアンドレア・ベンゾンさん(29)とフランス出身のコロン・サルバドールさん(26)が本紙のオンライン取材に応えた。2人は学業を終えた後、非政府組織(NGO)などで活動。英国の欧州連合(EU)離脱に対する危機感などからはん欧州主義の政治団体「ボルト」を設立し、2019年には欧州議会へ議員1人を送るなど若くして社会運動の経験を積んできた。
 ベンゾンさんは、あえて国連事務総長選びに活動の矛先を向けた理由を「世界各地で民主主義が後退し、気候変動も深刻化しているが、一般市民は誰も選出に発言権を持っていない」と指摘。サルバドールさんは「安保理常任理事国の米英仏中ロが事実上、密室で選んできたのは権威主義的で異常。何か発信しなければと感じた」と話す。
 運動は前進を意味する「Forward(フォワード)」と名付け、同名のウェブサイトを設立した。登録者が事務総長候補者を推薦できる仕組みを整え、出そろった候補者による「予備選挙」を実施する。国連総会が選出手続きに入るとみられる5、6月ごろに照準を合わせる。

オンラインインタビューで女性の国連事務総長選出の必要性を語るコロン・サルバドールさん

 国連創設以来、9人の事務総長すべてが男性だったことから、2人は「真に平等な社会を実現するために、女性の候補が必要とされている」と強調。先月、国連若手職員として異例の立候補を表明したインド出身のカナダ人女性アローラ・アカンクシャさん(34)とも連絡を取ったという。
 「投票の結果は国連に通知し、(国連の外で)何が起こっているのかを知ってもらう」とベンゾンさん。国連憲章は、事務総長選出について「安保理の推薦を受け、総会が任命する」と定めるだけだが、実質的には有力国の後押しが必要な現状を念頭に「どこかの国の支援があれば事態を一変させるゲームチェンジャーになれる」と期待する。
 サルバドールさんは「短期間で国連を改革できるとは思わないが、加盟国に市民が参加する民主的な選出について考えてもらいたい」と望む。

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