不安な夜にドアたたかれて…<刻む3.11>

2021年3月29日 19時09分

◆心に染みた隣人の菜めし

横浜市都筑区 公務員 以西いさい千春さん(42)
 東日本大震災が起きた時は、首がまだすわらない2カ月の長女と一緒にお昼寝をしている時間でした。当時住んでいた横浜市緑区のアパートが大きく揺れました。揺れは長い時間収まらず、停電したことを覚えています。
 その日、夫は職場に待機となり、娘と2人で、音もない真っ暗の部屋で過ごすことが、ものすごく心細く感じました。
 幼い娘は昼夜関係なく泣き続け、まとまって寝てくれるわけでもありません。大きな揺れが来たらどうやって娘と避難しようか。何を持って行けばいいのだろう。不安で仕方ありませんでした。
 その夜、ドアをたたく音。隣に住むおばさまでした。
 土鍋で炊いた、できたての菜めしのおにぎりを「これ食べてね」と。「こんな大変な事態になって、おっぱいが出なくなっては赤ちゃん大変だから…」と。
 みんな不安で心細いのに、おばさまの優しさで心が救われました。こんなに人の温かさが心に染みたことはありませんでした。
 その娘が10歳。引っ越して会うことがなくなりましたが、おばさまも、あの夜食べた菜めしのおにぎりも、忘れることはありません。

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