「アリの街」ここに在り 隅田公園に説明板 台東区が設置

2021年3月30日 07時18分

説明板の前で、設置を喜ぶ「アリの街実行委員会」のメンバーら=台東区で

 台東区は今月、隅田川西岸の隅田公園(浅草7)に「『アリの街』跡」の説明板を設けた。戦後の一時期、生活共同体が存在したことが日本語、英語、中国語、韓国語の4カ国語で記されている。設置を陳情していた「アリの街実行委員会」の北畠啓行(ひろゆき)代表(80)=台東区東上野=は「小さな市民団体の願いを区が受け入れ、街の存在を証明してくれた」と喜んでいる。 (井上幸一)
 一九五〇年に誕生したアリの街は、戦災で家や家族を失った人々が廃品回収を生業に、アリのように勤勉に働き生活していた。ポーランド人のゼノ修道士に導かれ、「アリの街のマリア」と称された北原怜子(さとこ)さんが街の子どもたちのために尽力。怜子さんは結核を患い二十八歳で亡くなり、その活動は映画や舞台になった。街は六〇年に都の要請で江東区に移転した。
 街の記憶を後世に伝えようと、実行委は台東区内外の有志らで四年ほど前に発足。写真資料展や、演劇の上演、怜子さんの追悼式などを行ってきた。説明板の設置は、二〇一八年に台東区議会に陳情。一度継続審査となった後、翌年に趣旨採択されていた。
 実行委のメンバーら約十人は二十七日、説明板の隣に怜子さんの肖像画を飾った祭壇を設け、折り鶴をささげて設置を祝った。ステンレス製の説明板は多くの桜の木がある場所に立っている。満開の桜の下で喜びを分かち合った面々は、この場所を怜子さんにちなみ「マリア・チェリー・ガーデン」と呼ぶことに決め、街について語り継いでいく決意を新たにした。
 香港の中学生にアリの街跡地を案内したことがある記録作家の石飛仁(じん)さん(78)=文京区=は「説明板は四カ国語の表記があるので、海外の人にも街のことを知ってもらえる」と期待を込めた。

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