東日本大震災 被災地の活動 心構え伝える 警部ら警察学校で体験語る

2021年3月30日 07時32分

被災地の過酷な状況を学生たちに伝える丹羽久尚警部=さいたま市北区の県警察学校で

 東日本大震災では、全国の警察官が被災地で救出救助や行方不明者の捜索、交通整理などにあたった。県警も2018年3月までに延べ約6万4000人を岩手、宮城、福島3県に派遣。発生から10年となった今月、被災地で活動した警察官2人が、県警察学校で学生56人に体験を語った。 (杉原雄介)
 丹羽久尚警部(45)は一一年三月下旬から十日間、岩手県内で遺体約九十体の検視をした。「自宅に戻って二歳の長男を抱いた時、最初に検視した幼児を抱いた時の感覚がよみがえり、長男を落としそうになった」。経験豊富なベテランでも被災地での活動は心身の負担が大きく、しばらく不眠に悩まされた。
 ただ、半年後に再び岩手県に派遣され、復興に向かう被災地の様子や住民たちの笑顔を見て安堵(あんど)した。不調も癒えたという。学生たちには「警察官としての誇りと使命感がなければ被災地での激務に耐えられなかった。公僕の精神を常に忘れないで」と語りかけた。
 樋山雄一警部補(39)は震災の発生直後から六日間、福島県相馬市で行方不明者の捜索にあたった。「水たまりから引き上げた車の中で母子四人が亡くなっていた。つらかった」。それでも家や大切な人をなくし、不自由な生活を強いられている被災者を思い、自身を奮い立たせた。「被災地や悲惨な事故現場に行くことを想定し、全力で活動できるようにしてほしい」と心構えを説いた。
 被災地出身の学生は、十年前の体験に向き合いながら話に聞き入った。宮城県石巻市の自宅が津波で流され、同級生を亡くした千葉有希巡査(20)は「助かった自分がたくさんの人を救うため、勉強に励みたい」。
 岩手県滝沢市出身の浅沼貴喜巡査(23)は、震災後の不安な時期に警察官からかけられた「心配ない。何かあったら言って」という言葉に救われ、同じ警察の道を志した。「人を守り、元気を与えられるようになりたい」と表情を引き締めた。

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