伊東・木下杢太郎の生家から幕末・明治の消防組史料 古文書123点を市に寄贈

2021年3月30日 07時56分

古文書に書かれた内容について高橋雄幸教育長(左)に説明する太田新吉さん=伊東市役所で

 医学者で、文学や絵画の世界でも足跡を残した木下杢太郎(一八八五〜一九四五年、本名・太田正雄)の伊東市の生家で、昨年暮れに見つかった古文書が、幕末から明治時代における地域の消防組(現・消防団)に関する史料とわかった。所蔵管理する太田新吉さん(78)=同市松原=が二十五日、市役所で高橋雄幸(ゆうこう)教育長に面会し、「歴史的価値のある古文書を有効活用して」と、史料一式を寄贈した。 (杉本三佐夫)
 寄贈された古文書は百二十三点。現在は市が木下杢太郎記念館として管理運営する旧商家「米惣」の本家裏にある太田家の倉庫(同市湯川)を、太田さんが整理していて見つけた。
 市教委が調べたところ、当時の湯川地区に住む青年層が関係した防災活動や祭典などに関して、実態を知る上で貴重な史料だとわかった。
 文書群は当時は自主財源のない消防組が、地域の有力者を回って活動資金を集めた寄付金の台帳をはじめ、祭典の際に飲食した酒類や菓子類などの購入先勘定帳、漁業などの手伝いをして報酬をためた台帳「非常溜代通(ためしろかよい)」など。消防組への入会願いを記した名簿も残されていた。
 太田家は幕末から明治前半期に地域の若衆組(後の消防組)のとりまとめ役を務めており、今回見つかった史料はその時の若衆組に関する文書群とみられる。
 当時の史料は個人所蔵の文書として、個々の旧家で保存されてきた例が多く、公的な保存態勢がとられないまま失われるケースがある。今回の発見は消防組の運営を垣間見ることができる珍しい史料と位置付けられている。
 寄贈式で太田さんは「たまたま私に古文書に関する知識があったから、史料の価値を認識できた。ぜひ後世に残すべきだと考えて市教委に相談した。貴重な史料とわかって良かった」と話し、高橋教育長は「大切に保管し、貴重な文化財として有効活用したい」と謝辞を述べた。

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