ストーカー、3割が弱いつながりの相手から…文筆家の内澤さんら調査、「恋愛目的」要件外す法改正を訴え

2021年3月30日 18時00分
取材に応じる内澤さん(上)と荻上さん

取材に応じる内澤さん(上)と荻上さん

 ストーカー被害の経験を持つ文筆家の内澤旬子さんや、支援をする評論家の荻上チキさんら有志が、ストーカー被害を巡るネット調査を実施した。つきまといなどの被害経験は1割を超え、全く知らない相手からの被害も多かったことが判明。現行のストーカー規制法は、「恋愛目的」のみを規制対象にし、クレーマーなどは対象になっていないことから、有志らは法改正を求めている。(佐藤大)

◆探偵に身辺調査される被害も

 調査によると、被害経験では「望まない面会や交際の執ような要求」(14・3%)、「つきまとい、待ち伏せ、押し掛け、うろつき」(14・0%)などが全調査対象者の1割を超えた。
 「望まない面会や交際の執ような要求」のうち、3割ほどは「全く知らない相手」や「ネットで知り合った人」など、特に強い関係性を持たない相手からの被害が多いことが分かった。
 このほか「無断で衛星利用測位システム(GPS)端末を設置される、位置情報共有・追跡アプリをインストールされる」(1・3%)、「探偵・興信所などを利用して身辺調査される」(1・1%)の被害も確認された。
 GPSで監視する手口を巡っては、最高裁が昨年7月、同法が規制する「見張り行為」には当たらないとの判断を示した。

◆クレーマーは適用外

 これを受け警察庁の有識者検討会が議論し、GPS機器の悪用などを禁じる規定を盛り込んだストーカー規制法改正案が閣議決定され、法改正が進んでいる。
 ただ、この法改正によっても「恋愛目的」のみが規制対象であることは変わらない。
 憎悪や顧客サービスを巡るクレーマートラブルの場合、法の適用外となる。
 このため有志らはこの「恋愛」要件をなくす法改正を求め、併せて加害者の治療を義務化することなどを求めている。

◆恋愛感情に関係なく、つきまとい行為がある

 内澤さんは元交際相手からSNSのメッセージ機能を使ったストーカー被害を受けていたが、当時はこの機能を使った行為が同法の対象になっておらず、相手は名誉毀損罪と脅迫罪で裁かれた。
 内澤さんは「ストーカー規制法以外の法律では接近禁止命令を出してもらえない。接近禁止命令によって被害者の安心度は高まる。加害者の治療にもつなげてほしい」とさらなる法改正を求めている。
 内澤さんはGPSを巡る最高裁判決を受け、被害者が置いてけぼりになるのでは、といてもたってもいられなくなった。
 荻上さんに相談のメールを送り、荻上さんが実態把握のための調査を提案した。荻上さんは「世間にはストーカーは恋愛感情のもつれから、という『ストーカー神話』がある。恋愛感情に関係なくつきまとい行為があり、法律もそれを認定する、という方向で議論を進めてほしい」と訴えている。
 調査は昨年12月~今年1月、東京都、千葉県、神奈川県、埼玉県の20~59歳の男女8812人を対象に行った。調査支援へのクラウドファンディングも実施している。
 クラウドファンディング「CAMPFIRE」で、4月28日まで調査への支援を募っている。

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