世界の海でプラごみの山、身近な海で実感 「自分に返ってくること考えて」

2021年3月31日 12時00分
 世界中の海で、魚よりプラスチックごみの方が多くなる―。30年後、何の対策も取らなければそうなるという分析が、国際会議で報告されているという。現状を確かめようと、関東有数の漁場、千葉県館山市沿岸で行われたプラスチックごみの清掃活動に参加した。(蒲敏哉、写真も)

打ちあげられたプラスチック片。さらに砕けるとマイクロプラスチックとなる=いずれも千葉県館山市で

 快晴の空の下、遠く海の向こうには、白い雪をかぶった富士山が美しい姿を見せる。訪れたこうやつ海岸は、砂浜が広がりリゾート的雰囲気を漂わせていた。
 「まあ、砂浜をよく見てくださいよ」。地元でダイビングショップ「マナティーズ」を営む山崎由紀子さんがそう言って指さす。

◆波に洗われ細分化し分散

 打ち上げられた木片の周辺には、家庭用カセットコンロのボンベのものと思われる赤いキャップやゴルフのティー、インスタントラーメンのカップのかけらなどが固まっていた。
 直径2~3センチのごみばかりだが、目を凝らすと砂浜の至る所に貝殻に交じって散らばっている。波に洗われ細分化し、マイクロプラスチックとして分散していくのだ。実はこうした光景は、世界の海のほとんどの沿岸で見られるという。

海底のプラスチックごみを拾う高砂淳二さん。釣りざおからイスまでさまざまなごみが沈んでいた

 少し西の見物けんぶつ海岸にある漁港に移動し、自然写真家の高砂淳二さん(58)と潜り清掃活動した。水深は4メートル前後。突堤周辺の海底にはいすや釣りざおが転がり、ラーメンの空き袋が浮かんでいた。

◆プラ袋をクラゲに間違え誤飲、死亡するウミガメも

 「半透明なプラスチック袋はウミガメには好物のクラゲに見える。食べて死んでしまうものもいる」と高砂さん。館山沖にはイルカの一種スナメリも多く生息し、誤飲が懸念されるという。
 この日、清掃活動に加わったのは約40人。地元からは定置網漁に携わる梅木蘭さん(34)ら漁師も参加した。新聞で作ったエコバッグを店で使う東京・自由が丘の菓子店「世田谷トリュフ」の宮下ともさんからは、活動資金の援助もあった。
 毎朝午前5時から漁をする梅木さんは「スズキやヒラメ、アオリイカがたくさん捕れる好漁場。でも、海上には発泡スチロールなどプラスチックごみがあちこちに浮かんでいる。なんとかしないと」と訴える。

40人ほどが参加した清掃活動で約50袋分のプラスチックごみが集まった

◆1日の清掃活動でゴミ袋50個分

 プラスチックやビン、缶を分別し、市指定のごみ袋に詰めた。1日で約50袋が集まった。
 午後に回った坂田ばんだ海岸の砂浜には、プラスチックのロープが砂に深く埋まり掘り出せないものもあった。波打ち際の一部には、スリッパやビニール袋などがミルフィーユのように層状に埋まった土砂が堆積している場所も。過去何十年にもわたって、プラスチックごみが廃棄されてきたことがうかがえた。
 高砂さんは呼び掛ける。「しっかりごみ袋に入れても、袋が破れて海まで流れ出てしまうケースが後を絶たない。魚介類に取り込まれ、人間が食べることで、有害物質の影響も懸念されている。自分たちにはね返ってくることを考えてほしい」

 海洋プラスチックごみ問題 国連環境計画(UNEP)などによると、世界で年間約1300万トンのプラスチックごみが海洋投棄されている。2016年の世界経済フォーラム年次総会(ダボス会議)では、対策がない場合、50年までに海のプラスチックの量が魚の量を超えるとの試算が報告された。最もプラスチック包装容器を捨てているとされるのは中国だが、国民1人当たりでは米国が年間45キログラムで最多、日本は32キログラムで2位。

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