【動画あり】「罪なき人の命守って」 三本指で国軍クーデターに抗議のミャンマー国連大使、本紙に語る

2021年4月1日 06時00分
 【ニューヨーク=杉藤貴浩】ミャンマーのクーデターから1日で2カ月。国軍による国民への弾圧が一層激化する中、国連総会の場で反独裁を象徴する「三本指」を掲げたチョー・モー・トゥン国連大使(51)が本紙の取材に応じた。同氏は、3月31日にミャンマー情勢を協議する安全保障理事会に対し、国軍への制裁を求める書簡を送ったことを明かし、「国際社会は罪なき人々の命を守ってほしい」と訴えた。
 チョー・モー・トゥン氏は、オンラインのインタビューで、ミャンマー情勢に関し「既に500人以上が残忍な国軍に殺された。心底恐ろしく悲痛な事態だ」と強調、各国に対し「すぐに国軍への禁輸措置をとってほしい」と求めた。具体的には、国軍関係者や親族に経済制裁を加え、資金の流れを遮断するとともに、民主的な政府が復活するまでミャンマーへの投資を停止するよう呼び掛けた。
 同氏はこうした内容を書簡にまとめ、「29日付で事務総長(グテレス氏)や安保理議長(トーマスグリーンフィールド米国連大使)らに送った」と明言。欧米諸国と中国・ロシアの主張の違いのため、国軍への制裁決議に踏み切れない現状を念頭に「私の書簡が理事国の結束に役立つのを願っている」と話した。現在は安保理理事国ではない日本には「国際社会やミャンマーの経済に大きな影響力がある。国軍との経済的、外交的関係を断ち切ってほしい」と要望した。

ニューヨークのミャンマー国連代表部でオンラインインタビューに答えるチョー・モー・トゥン国連大使=いずれも3月30日、杉藤貴浩撮影

 同氏は、2月の国連総会で「国軍は国民の願いを完全に無視し、クーデターを起こした」と非難した上で三本指を掲げて大きな拍手を浴び、注目を集めた。当日は、国軍の影響下にある外務省から届いた声明案もあったが、「内容の確認もしなかった。自分で用意した声明を読み上げることを決めていた」と語った。
 また、「三本指は若者らに浸透しており、命を危険にさらして街頭(抗議活動)に出る彼らを支持していることを示したかった」と強調。祖国に残した両親を心配しつつも「国軍による無実の民間人への残虐行為が、私を国のために立ち上がらせた」と語った。後に両親から「誇りに思う」との連絡を受けたという。

ニューヨークのミャンマー国連代表部近くに集まった支持者とともに三本指を掲げるチョー・モー・トゥン国連大使(中)

 国連総会後、国軍はチョー・モー・トゥン氏の解任を発表し、次席大使を後任に指名しようとしたが、次席大使は辞任。同氏はニューヨークで職務を続けている。国軍から死刑を含む反逆罪で訴追されたことにもひるまず「私を支持するミャンマー国民に支えられ、米政府も協力的だ。ただ、家族の安全への警戒は続けている」と述べた。
 同氏は1993年に外務省入省。スイス大使などを歴任し、昨年10月から現職。新潟県の国際大で経営学修士号を取得している。

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