群馬聖火リレー 二つの郷土に元気届ける 南相馬から沼田に移住した木幡さん親子が力走

2021年4月1日 07時17分

サクラが咲く中を走る木幡悠紀さん(代表撮影)=いずれも沼田市で

 東京電力福島第一原発の事故後、福島県南相馬市から沼田市に移住した会社員木幡隆直さん(47)と沼田東中に通う次男悠紀さん(14)は、昨年の延期から一年越しで聖火ランナーを務める念願が実現した。隆直さんは三十日に桐生市、悠紀さんは三十一日に沼田市を走り、悠紀さんは報道陣に「二つの郷土を聖火が渡り歩き、地元で走れた。感謝の気持ちでいっぱい」と満足そうに語った。 (市川勘太郎)
 隆直さんは本紙の取材に「原発事故は地震から原発を守れず、人々に恐怖を与えた。自然災害ではなく人災だ。放射能で故郷がやられたことが悔しい」と語気を強める。
 南相馬市の当時の自宅は原発から約二十五キロ。隆直さんは「今いる空間が汚染されているかもしれない恐ろしさがあった。自分よりも子どもたちのことが心配だった」と思い起こす。
 隆直さんは長男と次男、実父母ら計六人で妻亜紀子さん(46)の出身地、沼田市へ避難。その後、実父母は南相馬市に戻った。二〇一三年には沼田市に自宅を建て移住を決めた。
 隆直さんは震災から十年が経過し、「震災への意識は弱まっているが、強い地震があると津波や原発が大丈夫かと今でも不安になる」と明かす。
 悠紀さんは南相馬市に戻った祖父母に元気な姿を見せようとリレーに応募。本紙の取材に延期の決定後は「ウイルスは誰かのせいではないので、絶望感と行き場のない怒りがあった」と振り返る。悠紀さんは沼田東中で友人が増え、学校生活にも慣れてきたという。
 迎えた当日。リレー後に隆直さんは報道陣に「十年たった今も放射能の被害で避難している人に、元気を届けられればと思い明るく走った」と答えた。
 悠紀さんは報道陣に、小学生の頃は人見知りだったが、リレーを経験し「自分を素直に表現できるようになった」と胸を張った。「祖父母へ感謝の気持ちに加え、沿道の声援で沼田の人の温かさを感じた。沼田に住んでいて良かった。これからもこの町を愛していきたい」と力を込めた。

聖火出発を祝うサポートランナーの子どもたちと首長や議員ら

◆渋川起点に8市町村巡る  井森さん、中山さんも登場

 東京五輪の聖火リレーは県内最終日の31日、渋川を起点に草津、沼田、川場、長野原、藤岡、富岡、高崎の順で8市町村を巡った。
 スタートは伊香保温泉の石段街。第1走者はみなかみ町の中学生北山瑠那さん(13)で、馬術競技を小学4年生から本格的に始め、五輪出場が目標だ。
 ともにぐんま大使のタレント、井森美幸さんは富岡市を、中山秀征さんは高崎市を走った。最後に高崎市の大型集客施設「Gメッセ群馬」で到着セレモニーなどが開催された。
 聖火リレーは長野県に移り、1日は1998年の長野五輪で競技会場があった軽井沢町を出発。開会式や閉会式、競技会場もあった長野市へ向かう。 (池田知之)

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