国連安保理、ミャンマー国軍への制裁決議できず 中国の反対姿勢で結束は困難

2021年4月1日 21時40分
治安部隊との衝突で死亡した女性のひつぎを前に悲しむ人々=29日、ミャンマー・ヤンゴンで(AP)

治安部隊との衝突で死亡した女性のひつぎを前に悲しむ人々=29日、ミャンマー・ヤンゴンで(AP)

【ニューヨーク=杉藤貴浩】国連安全保障理事会は3月31日、国軍による国民への弾圧が深刻化するミャンマー情勢を巡って緊急会合を開いた。ブルゲナー事務総長特使(ミャンマー担当)は国軍に対する安保理の強い措置を求めたが、中国が制裁に反対姿勢を示すなど、理事国の結束は困難な状況だ。
 ブルゲナー氏は、クーデター以降、国軍の弾圧で520人以上が犠牲になったと報告。「国軍の指導者には明らかに国を治める能力はない。文民政権の復帰を支援することはわれわれの義務だ。大虐殺が迫っている」と訴えた。
 国軍と少数民族武装勢力との武力衝突が長年続いてきたミャンマーで、「前例のない規模の内戦の恐れが高まっている」とも指摘。安保理が有効な対策を打ち出せていない現状を念頭に、「歴史はこの怠慢をどう審判するだろうか」と述べ、国軍に対する強い行動を促した。
 安保理議長国の米国のトーマスグリーンフィールド国連大使は同日、米紙ワシントン・ポスト(電子版)への寄稿で「国軍とその後ろ盾に、より圧力をかけるため、国連などの多国間機関を通じた外交を続ける」と表明。英仏などの同盟国とともに、法的拘束力を持つ安保理制裁決議を含めた強い措置を模索する姿勢を示した。
 だが、中国の張軍ちょうぐん国連大使は会合で「暴力と流血は誰の利益にもならない」と情勢の深刻化に懸念を示しつつ、「一方的な圧力や制裁と強制的措置の要求は緊張と対立を悪化させるだけだ」と表明。事態はミャンマーの内政問題として、欧米主導の干渉をけん制する姿勢をあらためて強調した。
 制裁決議は常任理事国の中国やロシアが拒否権を行使すれば採択できない。会合の開催を要請した英国のウッドワード国連大使は記者会見で「今後も他のメンバーと次のステップへの話し合いを続けていく」と述べるにとどめた。

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