<くらしの中から考える>うそは絶対にダメ?

2021年4月2日 07時27分
 昨日は「エープリルフール」でしたね。年に1度、うそをついてもいいという日。もともとはジョーク(冗談)を楽しむ海外の風習のようです。普段は親や先生から「うそをついちゃダメ」とよく言われるでしょう。でも、相手の気持ちを考えて、あえて本当のことを言わなかったという経験もあるのでは。うそは絶対にダメなのでしょうか。 (河郷丈史)
 「うそつきは泥棒の始まり」ということわざもあるように、うそは通常、悪いこととされ、犯罪にも使われる。例えば、特に高齢者を狙ったニセ電話詐欺は、子どもや孫などを装ってお金をだまし取る手口だ。
 悪意がなかったとしても、うその情報を流せば、人を混乱させる。新型コロナウイルスの感染拡大の中でも、「○○が効く」「○○がなくなる」といったうそや間違った情報がインターネットで広まった。
 うそをつくと、相手の信用も失いかねない。国会では最近、政治家や官僚がうその答弁をしたことが大問題になっている。単に事実と違うからダメというだけでなく、うそがまかり通ると、誰も政府の言うことを信用しなくなるからだ。
 では、うそは絶対に悪いことなのか。子どもの言語コミュニケーション能力を研究している中央大教授の松井智子さんは「優しいうそはつけた方がいいこともある」と言う。例えば、友達からもらった誕生日プレゼントがあまり欲しくないものだったとき。本当はうれしくなくても「ありがとう」と伝えるのは、相手を傷つけないための「優しいうそ」になる。
 子どもは発達とともに、現実に起きていないことを思い浮かべる想像力を身に付けていく。「うそをつけるようになるのはこの能力のおかげ」と松井さん。将来のことを考えたり、他人の考え方を理解したりする力にもつながっているという。「この力には良い使い方と悪い使い方がある。よく考えて使いましょう」
 うその善悪は、哲学の大きなテーマの一つでもある。西洋哲学が専門の三重大准教授の田中綾乃さんによると、現代の日本社会の感覚に近いのは、英国の哲学者ベンサムらが唱えた「功利主義」。事実と違うことを言ったとしても、それによって誰かが助かるなど、結果が良くなるのなら問題ないとみなす考え方だ。
 これに対し「どんな事情があっても、うそは道徳的に許されない」と主張したのが、ドイツの哲学者カントだ。条件付きでうそを認めてしまうと、言葉への信用が失われ、社会が成り立たなくなると訴えた。田中さんは「功利主義の考え方だけだと、言葉が軽くなりすぎる恐れがある。相反する考え方を知り、比較していくことが大切」と話す。

◆皆さんの意見を送ってください

 皆さんはどんなうそをついたことがありますか。そのとき、どんな気持ちでしたか。意見を送ってください。紙面で紹介したお子さんの中から抽選で図書カードをプレゼント。応募は〒460 8511 中日新聞(東京新聞)生活部「学ぶ」係=ファクス052(222)5284、メール=seikatu@chunichi.co.jp=へ。URLから、ワークシート兼応募用紙もダウンロードできます。23日締め切り。
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