コロナ禍で会いに行けないけれど…100歳のお祝いに思い出の地へのオンライン旅行を孫からプレゼント

2021年4月2日 08時11分
 新型コロナウイルスの影響で会えない福島の祖母に100歳のお祝いを届けようと、東京都内に住む孫がオンライン浅草旅行を企画した。誕生日となった1日、2人はかつて家族で旅した思い出の地をスマートフォン越しに巡り、「楽しかったね」とほほ笑み合った。 (加藤健太)

100歳の祖母のためにオンライン浅草旅行を企画し、スマートフォンで雷門の様子を伝える星直人さん=東京・浅草で

 100歳を迎えたのは福島県いわき市の星ヨシエさん。4年前の転倒で骨折してしまい、今は市内の介護施設で暮らす。
 この日、一緒に住んでいた家族が施設をお祝いに訪れたが、東京都台東区在住の孫直人さん(36)はコロナ対策を強化する施設の方針で面会がかなわなかった。
 幼い頃、両親が共働きだった直人さんにとって、いわき市で同居していたヨシエさんは最も身近な存在だった。「どうしたらばあちゃんの100歳を祝えるだろう」
 旅行会社に勤める直人さんが目を付けたのが、コロナ禍で脚光を浴びるオンライン旅行。旅先に選んだのはヨシエさんの米寿を記念して12年前に一家10人で訪れた浅草だ。
 「そんじゃ、出発すっぺー」。午前10時すぎ、福島と東京がオンライン会議システム「Zoom」でつながり、直人さんの掛け声で浅草ツアーが始まった。朱塗りの雷門が青空に映える。車いすのヨシエさんはぐっと画面に近寄った。

オンラインでスマートフォンの画面に映る星直人さんの祖母ヨシエさん=東京・浅草で

 直人さんは「ばあちゃん、食べてみたいものある?」と語りかけ、仲見世の人形焼き店で立ち止まった。アシスタント役を務めたひ孫の長男爽太そうた君(7つ)が試食して「おいしいよ」と実況すると、ヨシエさんの表情がゆるんだ。
 「浅草寺でお参りしたの覚えてっけ?」「覚えてるよ」。そう言葉を交わしながら直人さんは本堂に向かった。爽太君がさい銭を投げ入れるのに合わせて、「ばあちゃんが元気でいてくれますように」と祈願。ヨシエさんも頭を下げて拝むしぐさをみせ、30分間のツアーは幕を閉じた。
 直人さんはコロナ禍で帰省を控える日々が続き、ヨシエさんとは2019年末以来会えていない。「浅草行ったみてえだ」とヨシエさんが喜んでくれたことに気持ちが震えた。
 「ずっと外の景色を見たいと言っていたので見せてあげられて良かった」と涙を浮かべながら語った。

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