<ヒューマンいばらき>まちの未来図を模索 大学院で学び直した、つくばみらい市職員・堀越卓(ほりこし・すぐる)さん(40)

2021年4月4日 07時14分

筑波山を望む研究室で調査成果を説明する堀越卓さん=つくば市の筑波大で

 つくばみらい市から初めて筑波大の社会人向け研究教育プログラムに送り出され、この二年間、大学院の都市計測実験室でまちづくりを学んだ。
 帝京大理工学部を卒業後、民間企業で工業用の精密機械の設計に二年間従事したが、「もっと人に近い仕事がしたい」と市職員に転じた。
 しかし、日々の仕事に追われ、「現場でいろいろな声を聞いているうちに、どれが正解なのか分からなくなっていた」。根拠を示しながら論理的に説明できる知識を身に付けようと、社会人向けプログラムの公募に手を挙げた。妻由紀子さん(39)も応援してくれた。
 講義に討論、現地視察の毎日。一晩中論文と格闘した末、朝帰宅してシャワーを浴び、研究室にとんぼ返りすることもあった。
 学生たちからは「意見をはっきり言うことが建設的で、黙っていては意味がない」と教えられ、「知らず知らずのうちに周囲の空気を読んだり、言葉を選んだりしている自分に気づいた」と打ち明ける。
 研究テーマに選んだのは、つくばみらい市の医療体制だ。二〇〇五年のつくばエクスプレス(TX)開通以降、つくばみらい市内のみらい平駅周辺に診療所は増えたが、病床数二十床以上の「病院」はない。人口十万人当たりの医師数も県内最低レベルだ。市民の意向調査では「診療科がたくさんある大きな総合病院がほしい」との要望が圧倒的に多い。
 道路網の分析ソフトを駆使し、市内から近隣自治体の病院への到着時間を調べてみた。すると車を使えば、市民の約95%が三十分以内につくば、守谷、取手、常総市の総合病院などに通えることが判明した。水戸やつくば市に匹敵する高水準に「むしろ医療の充実度は高い」と感じた。
 「少子化で維持が難しくなる病院の誘致より、安全な道路の研究、公共交通機関の充実など交通政策に力を入れるべきだ。二番煎じのまちづくりより、県南地域で役割分担を考えることが重要だ」と力を込める。
 研究の成果は今秋、つくば秀英高と筑波大の高大連携のシンポジウムで発表する予定だ。
 今月から市役所に復帰し、都市計画課に配属された。「学んだことが生かせる職場」と目を輝かせる。免許証の返納が進む高齢者の移動手段の確保が当面の課題だ。
 常総市の自宅と実家は一五年の常総水害で床上浸水し、大規模半壊と判定された。医療、高齢化、防災…。まちづくりのテーマは幅広い。「市民のためのまちづくりとは何なのだろう」と自問し続ける。 (林容史)

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