「死にたい」日々乗り越え五輪へ 白血病から復活わずか1年 池江璃花子涙の奇跡

2021年4月4日 19時52分

競泳の日本選手権女子100メートルバタフライで優勝し、喜ぶ池江璃花子。400メートルメドレーリレーの選考基準を満たし東京五輪代表に決まった=いずれも東京アクアティクスセンターで

 東京都内で開かれている競泳の日本選手権で、白血病から復帰した池江璃花子選手(20)=ルネサンス=は4日、女子100メートルバタフライを57秒77で制し、東京五輪の選考基準を突破し、五輪代表入りを決めた。水中練習を再開してからわずか1年余。最大の目標に掲げていた2024年パリ五輪よりも早く五輪切符を手にした。 (磯部旭弘)

◆大舞台に「ただいま」

 決勝を終えると、あふれる涙を止められなかった。「『ただいま』という気持ちで入場してきた。自分がつらくて、しんどくても、努力は必ず報われると思いました」と声を震わせた。日本水泳連盟が定めるこの種目の派遣標準記録(57秒10)は破れなかったが、400メートルメドレーリレーの選考基準を満たした。

女子100メートルバタフライで優勝、感極まる池江

 待ち望んだプールに再び入ることができたのは20年3月。「1年足らずでここまで戻ってこられたのは想定外」と実感を込める。「第2の水泳人生」は驚異の復活劇だった。
 19年2月に白血病を公表し、約10カ月の入院生活を過ごした。抗がん剤治療の副作用から嘔吐を繰り返し、点滴で栄養を取った。「本当につらかった。人生で初めて死にたいと思った」と退院後に知人に漏らしたほど。食欲も全くわかず、一時は10キロ以上も体重が落ちた。

◆復帰直後は仲間にも遅れて…

 日本新記録を連発していたかつての自分。入院中の心に余裕があるときに映像を見返すと、「この人すごいなって。人ごとみたいな感じ」と映った。水中での練習を再開しても当然のように仲間のペースにはついていけなかった。
 厳しい現実に気持ちの浮き沈みも大きかったが、「負けず嫌いなところは変わっていなかった」。自分の弱さが悔しかった。純粋に速くなりたかった。体調を最優先にしながら、体力や筋力を少しずつ取り戻そうとした。「池江選手の強みとして、越えられない壁にチャレンジして、それを越える力は並外れたものがある」と指導する西崎勇コーチは言った。

◆目標のパリよりも早く

 20年3月に東京五輪の延期が決定し、絶望的と見られていた自国開催の五輪出場の可能性が浮上。8月、約1年7カ月ぶりにレースに復帰した。だが、一貫して目標を24年パリ五輪と公言してきた。それだけに「実感がわかない。ものすごくうれしい気持ちがある」。完全復活の途上。病気と闘い、自分と向き合い、16年のリオデジャネイロ大会に続き、2度目の五輪代表権をつかんだ。

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