<ひと物語>子どもの将来に責任を 野球塾と整骨院 二足のわらじ 熊沢とおるさん

2021年4月5日 07時34分

野球塾と整骨院の経営を通じ、野球をする子どもたちのけが防止を訴える熊沢とおるさん=いずれも入間市下藤沢の入間整骨院で

 プロ野球埼玉西武ライオンズの元選手で、二〇〇八年には一軍打撃コーチ補佐として西武の日本一に貢献した熊沢とおるさん(47)は現在、入間市で小中学生向け野球塾と整骨院を経営する。日米球界で活躍した松井稼頭央さん(45)=現西武二軍監督=らをコーチした経験も生かし、「野球をする子どもたちをけがから守りたい」との思いで、正しい体の使い方の指導とケアに取り組んでいる。
 所沢商業高(所沢市)では強打の外野手として鳴らし、一九九一年のドラフト三位で西武に入団。現役時代、チームの理学療法士のケアで体の柔軟性が高まったことをきっかけに、コンディショニングへの関心を強めた。引退後は二軍スタッフをしながら、コンディショニングや野球技術を独学で勉強。当時、主力内野手で仲が良かった松井さんに体のケアや技術面の助言をして活躍を支えた。
 〇五〜〇七年には、米大リーグに舞台を移した松井さんと個人コーチ契約を締結。守備面で苦戦していた松井さんに、キャッチボールのやり方から見直して指導し、スムーズな投げ方に矯正した。基本から徹底的に磨き直したことが功を奏し、松井さんは〇七年にレギュラーの座を勝ち取り、二塁手として安定した守備を見せた。
 体のケアと基本技術を大切にする指導方法は、一二年に開校した野球塾「リアル・ベースボール・アカデミー」でも一貫している。子どもたちには、まずは正しい投げ方ができるまでキャッチボールを繰り返させる。
 「基本に忠実なキャッチボールができれば試合で良いパフォーマンスが出せるだけでなく、正しく体を使うことでけがをしにくくなる」と熊沢さん。選手時代に参加した野球教室では、けがで見学をしている子が多かったという。「正しいリハビリを施して野球を楽しめるようにしてあげたい」と塾経営のかたわら専門学校に通い、一五年に柔道整復師の資格を取得。入間整骨院を開業した。
 整骨院には一般患者のほか、野球でけがをした小中高校生が首都圏や関西からも訪れる。投球による肩やひじの故障が目立ち、熊沢さんは「日本の子どもは毎週のように大会や試合があり、一年中投げすぎ。手がかじかむ寒い中でボールを投げさせるのは、指導者の自己満足でしかない」と警鐘を鳴らす。

投球でひじを痛めた高校生の体のメンテナンスをする熊沢とおるさん(熊沢さん提供)

 少年野球では近年、投手の球数制限を設ける大会も増えている。「一番大事な幼少期に将来をつぶすことはあってはならない。指導者や全スタッフが、子どもの将来に強い責任を持って接してほしい」と願う。 (杉原雄介)
<くまざわ・とおる> 新座市出身。小学5年生から野球を始め、所沢商業高では通算52本塁打。1991年のドラフトで西武に入団。1軍出場なく98年に引退した。2008〜11年に西武で打撃コーチ補佐などを務め、後に打撃タイトルを獲得する浅村栄斗選手(現楽天)や秋山翔吾選手(現米大リーグ・レッズ)らを育てた。入間市在住。

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