<社説>皇位継承論議 新しい皇室像を視野に

2021年4月5日 07時51分
 安定的な皇位継承策を議論する有識者会議が始まった。女性・女系天皇や旧宮家(旧皇族)の皇籍復帰など十項目がテーマとなる。国民の意識や時代の流れを踏まえ、新しい皇室像を探ってほしい。
 最大の論点は皇位継承の資格を女性に認めるか、さらに女系天皇へと拡大することの是非であろう。仮に天皇陛下の長女愛子さまが即位するならば、父が天皇だから女性天皇となる。一般男性と結婚し、生まれた男子が天皇になれば、母親の血筋のみ天皇だから「女系の男性天皇」となる。
 歴史上では推古天皇や持統天皇など八人の女性天皇がいたが、女系天皇はいない。だから、女性、とりわけ女系の容認は「日本の伝統を破壊する」などとして保守派の強い反対論がある。いわゆる男系男子主義である。
 もっとも次世代の継承資格者は、秋篠宮さまの長男悠仁さま一人だけという現状では、男系主義の手法も限られる。終戦直後に皇籍を離れた旧宮家を復帰させる案があるが、実は小泉政権当時の有識者会議では「皇籍復帰は困難」と結論づけられていた。
 旧宮家は天皇陛下との男系の共通先祖は約六百年前までさかのぼる。かつ戦後ずっと民間人だった人が突然、皇族になることに国民の理解が得られるだろうか。共同通信が昨年春に実施した世論調査では、皇籍復帰への賛成は28%にとどまっている。
 それに対し、女性天皇への賛成派は85%、女系天皇への賛成派も79%に上っているのである。男女共同参画という時代の流れや、男女平等の憲法の精神にかなっていることは言うまでもない。
 そもそも二〇一七年に成立した天皇退位特例法の付帯決議は、女性皇族が結婚後も皇室に残る「女性宮家」創設などについて速やかな検討を求めていた。
 有識者会議が旧宮家の復帰を両論併記型にせよ取り込めば、論議は平行線で今後も延々と続きかねない。
 愛子さまも、秋篠宮さまの長女眞子さまも、次女佳子さまも近い将来、皇族でなくなる可能性がある。皇族数の減少がさらに切迫感を帯びる中で、皇位継承の結論は待ったなしである。
 小泉政権時の有識者会議では、女性・女系に皇位継承資格を拡大する報告書をまとめている。論点は出尽くしているはずである。天皇の地位は「国民の総意」に基づくから世論を踏まえるのは当然として、迅速な結論も望みたい。

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