在日コリアン 尊厳めぐる闘い ドキュメンタリー映画、新宿で17日上映

2021年4月6日 07時10分

Zoomで取材に答える金哲民監督

 韓国で制作された在日コリアンのドキュメンタリー映画「私はチョソンサラム(朝鮮人)です」(2020年/94分)の上映会が17日、新宿区の牛込箪笥区民ホールで開かれる。日本、北朝鮮、韓国と三つの国に引き裂かれ、自分が何者かと苦しみ、今も偏見や差別と闘う在日の人々をカメラが追った。韓国人監督の金哲民(キムチョルミン)さん(42)に、作品に込めた思いを聞いた。 (出田阿生)
 「私自身も在日朝鮮人のことを知らなかった」という金監督。〇二年の南北交流イベントで、民族衣装を着た在日の青年たちが南北統一を願って歌う姿に衝撃を受けた。「短い交流だったが、離れがたい気持ちになった」。以来、韓国と日本とを行き来しながら一九年まで撮影を続けた。
 京都の朝鮮学校に「在日特権を許さない市民の会」(在特会)のメンバーが押しかけ、怒号を浴びせて暴力的行為をした〇九年の事件。日本政府が朝鮮学校だけ高校無償化から外したこと…。映像は、日本社会の差別が続く現状を浮き彫りにする。金監督は「日本で植民地支配の清算がされていないことと、朝鮮半島の南北分断。この二つによって在日同胞の苦しみが続いている」と分析する。

映画の一場面(予告編より)

 そして在日を取り巻く複雑な状況と苦悩の象徴的な存在として作品に登場するのが、「留学生スパイ団事件」の被害者である男性三人だ。韓国が軍事政権だった一九七五年、日本から韓国の大学へ留学していた在日コリアンの学生が北朝鮮のスパイ容疑をでっちあげられ、二十一人が投獄された。
 その一人、カン・ジョンホンさんは元死刑囚。就職差別やアイデンティティに悩み、母国に留学した。しかし、突然の逮捕と過酷な拷問で「自白」を強要され、身柄拘束は二十四歳から三十七歳まで十三年間に及んだ。それなのに映像では「そんな青春を送ったことを悔しいとは思わない」と淡々と振り返る。「怒りはあっても憎しみは持ちたくない」「統一を願って微力を尽くすことが何よりも幸せ」と語る。
 金監督は「人としての尊厳をめぐる闘いを、韓国や日本の人々に知ってもらいたかった」という。韓国DMZ国際ドキュメンタリー映画祭で審査員特別賞を受賞するなど話題を呼んだが、日本でも今回の上映会を皮切りに、各地で自主上映を募る。十七日は午後二時十分開始で、参加費千二百円。完全予約制で申し込みは十日まで。問い合わせは「朝鮮学校『無償化』排除に反対する連絡会」=(電)080(3930)4971。

映画の一場面(予告編より)

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