黒人差別NO「問題終わっていない」 米国人ラッパー・ティミッド 音楽の力信じ日本で訴え

2021年4月6日 07時57分
 「ブラック・ライブズ・マター(BLM=黒人の命も大切だ)」を掛け声に米国で始まった黒人差別反対運動を受け、日本で音楽を通じて差別反対を訴えるラッパーがいる。米国人のティミッドだ。昨年十二月に日本有志の全国網「ブラック・ライブズ・マター東京」の副代表に就いた。「BLMへの関心が薄れてきている。音楽の力で、黒人差別の問題は終わっていないと訴えたい」と力を込める。 (林啓太)
 「ポケットの携帯を出そうとすると、銃を向けられる」「気を付けないと、脳みそが芝生に飛び散ることになる」
 米国の黒人が日常でさらされている脅威を、韻を踏んだ英語で淡々とつないでいく。曲の題名は「ウィー・ワー・ネバー・ザ・プロブレム」。僕たちは決して厄介者じゃなかった−という意味だ。
 黒人差別への抗議が世界的に高まっていた昨年九月、BLM東京がインターネット上で主催した音楽イベント。ティミッドは他の六組のアーティストとともにライブを配信し、黒人差別の不条理をラップで訴えた。ユーチューブに投稿され、今も視聴することができる(「BLM東京 ハーモニック・ウェイブレングス」で検索)。
 黒人差別を題材に複数の楽曲を作ってきた。自身も黒人として「差別のまなざし」にがんじがらめになってきたことへの憤りがある。例えば米国では店舗の商品をむやみに触らない。「万引を疑われるのを避けるため」だ。
 米国で音楽活動をしていた時に日本人の友人らを通じて日本文化に関心を深め、八年ほど前に来日。差別の視線は米国ほどひどくはないものの皆無ではないと感じる。東京・渋谷で受けた警察官の職務質問は「高圧的。黒人への偏見があったのでは」と振り返る。
 こうした黒人の重荷を、頭で理解することが難しい日本人も多い。だからこそ「音楽の出番」とティミッド。ラップの他、ジャズやR&Bなど黒人が生み出した旋律は、J−POPにも影響を与えている。「日本の人がなじんだ旋律に耳を傾けるうちに、差別を告発する歌詞にも関心を寄せてくれる」と期待する。
 「文化が異なる人同士も、一つの音楽に感動すれば心の壁を越えられる。人類という仲間になれる」
 昨夏に高まった黒人差別への世間の関心は、報道が減ったこともあり停滞気味だ。ティミッドは、やはり音楽が打開の鍵になると信じる。コロナ禍が終息した後を見据えて「いつかBLM東京でライブイベントを開き、生の歌声を人々にじかに届けたい」と前を向いた。
 「団結して前へ進み続ければ、皆にとっての“真の希望”を実現できるフィールドが開かれる」
 「今がその時だ」を意味する曲「イッツ・ザット・タイム」で、ティミッドはそう歌っている。

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