反トランスジェンダー法案、米国の保守州で広がる 若者への性適合治療禁止、人権団体は憂慮

2021年4月6日 18時57分
 【ニューヨーク=杉藤貴浩】米南部の保守的な州を中心に、トランスジェンダーの若者に対し、性適合治療の提供を禁じる法案が広がっている。米メディアによると、アーカンソー州では5日、州議会が可決した同様の法案に知事が拒否権を行使したが、議会の再議決で成立する公算が大きく、当事者や人権団体が憂慮を深めている。
 同州の法案は「実験から思春期の若者を救う」ことを目的とし、誕生時の性別と異なる性を生きるトランスジェンダーの未成年者に、医療従事者がホルモン治療などの性適合治療を施すことを禁止。性転換治療について専門家を紹介するのも禁じる。
 法案は先月、共和党多数の上下院を通過。全米で初の成立へ近づいたが、ハチンソン知事は5日、同党出身ながら「大きな政府の行きすぎだ」と述べ、民間への過干渉を避ける立場から署名を拒否した。ただ、議会は過半数の議決で拒否権を無効にできるため、法案成立の可能性は依然高い。
 伝統的な男女の役割分担を重視する保守派の多い南部諸州は、性的少数者の権利拡大を推進するバイデン政権に反発。人権団体「全米市民自由連合(ACLU)」などによると、アーカンソーと同様の法案は、今年に入りサウスカロライナ州やテキサス州など16州でも提出された。生物学的に男性のトランスジェンダーの選手が、女子スポーツに参加するのを禁止する法案を提出する動きも広がりつつある。
 性的少数者の支援団体「ヒューマン・ライツ・キャンペーン」は、「こうした法案は現実に対応しておらず、求められてもいない」と警告している。

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