<新型コロナ>アストラゼネカ、ワクチンの国内治験データを提出 国内生産7割、安定供給に期待

2021年4月7日 06時00分
 英アストラゼネカは、新型コロナワクチンの国内臨床試験(治験)の主要データを独立行政法人・医薬品医療機器総合機構(PMDA)に提出した。同社が薬事承認を申請したのは2月。既に海外の治験結果を基に審査が進んでおり、承認は5月ごろの見通しだ。欧州からの輸入に頼る米ファイザーのワクチンと違い、アストラゼネカのワクチンは7割以上を国内で生産するため、安定供給が期待される。 (藤川大樹)

◆神戸市内の工場が稼働中

 アストラゼネカから供給されるワクチンは1億2000万回分(6000万人分)。国内ではバイオ医薬品メーカー「JCRファーマ」(兵庫県)が受託生産する。薬事承認前でも製造は認められており、神戸市内の工場は既に稼働中。少なくとも9000万回分の原液を製造する予定だ。
 原液をバイアル(瓶)に充塡し、包装するのは第一三共(東京都)と明治ホールディングス傘下のKMバイオロジクス(熊本市)。JCRファーマは細胞の培養技術に優れ、第一三共とKMバイオロジクスはワクチン製造の実績があり、受託が決まったという。
 アストラゼネカ日本法人の田中倫夫執行役員は「JCRファーマの技術力は高く、期待通りのワクチン原液ができている。有効で安全なワクチンをタイムリーに届けたい」と話す。

◆臨床試験では有効率76%

 アストラゼネカは英オックスフォード大と共同でワクチンを開発した。新型コロナのスパイクタンパク質の遺伝情報をアデノウイルスに組み込んでワクチンを作る新しいタイプのもので、「ウイルスベクターワクチン」と呼ばれる。
 保管温度は2~8度。零下75度前後を保つ必要があるファイザーのm(メッセンジャー)RNAワクチンと比べて輸送しやすく、家庭用の冷蔵庫でも保管することが可能だ。
 発症を予防する効果(有効率)は、米国などで3万人超を対象にした臨床試験で76%だった。ファイザーの95%には及ばないが、接種したグループの中に重症化した人はいなかった。

◆欧州で2000万人が接種

 日本感染症学会ワクチン委員会・西順一郎委員長は「ファイザー製より有効率は若干劣るが、インフルエンザワクチンなどより高い数字だ」と指摘する。「アストラゼネカ製は冷蔵保管ができ、診療所などでも使いやすい。発熱や接種部位の疼痛など一過性の副反応の頻度が低く、実用性は高い」と評価した。
 治験で安全性の問題はなかったが、気がかりなのは欧州などでの接種後に血栓ができたという報告。欧州医薬品庁(EMA)は現時点で「接種との因果関係は確認されていない」とするが、今後も分析を継続するという。
 西氏は「ワクチンを接種したグループと、接種しなかったグループで、血栓が発生する率は変わらなかったのではないか。因果関係は考えにくいだろう」と話した。
 アストラゼネカによると、同社のワクチンは70カ国以上で承認済み。3月末時点で欧州では2000万人以上が接種を済ませた。日本では、PMDAが審査報告書を作成した後、厚生労働省の専門部会が内容を審議する。了承されれば、厚労相が承認し、国内での接種が始まる。

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