東海第二「第二の避難先」 候補地6県161市町村 移動手段や経路になお課題

2021年4月7日 07時50分
 日本原子力発電に東海第二原発(東海村)の運転差し止めを命じた水戸地裁判決(三月十八日)は、事故に備えて県や市町村が作る広域避難計画などの防災対策が不十分と指摘し、検討課題の一つに複合災害時の「第二の避難先」の確保を挙げた。県は判決に先立ち、宮城県など六県に候補地を選定しているが、移動手段や避難経路の確保といった難題は依然として残る。 (宮尾幹成)
 策定が進められている避難計画は、東海第二の周辺十四市町村の半径三十キロ圏内に住む約九十四万人が対象。避難先として県内と近接五県の計百三十一市町村が決まっているが、これは原発事故だけが単独で起きることを前提としたものだ。
 県は三月十二日、原発事故に加えて地震や津波などの自然災害、新型コロナウイルス感染拡大などが重なる「複合災害」で「第一の避難先」が受け入れ不能になった際、代替の避難先となる「第二の避難先」の候補地を選定したと発表した。
 福島(帰還困難区域を除く)、栃木、群馬、埼玉、千葉の隣接五県と宮城県の計百六十一市町村。災害時には災害対策基本法に基づき、本県からの避難者の受け入れについて各県知事と調整する。
 第一の避難先では、避難する側と受け入れ側の自治体をあらかじめ対応させているが、第二の避難先は事前に避難元とひも付けしない。県原子力安全対策課は「被災状況などに応じて柔軟に対応するため」と説明している。
 県は今後、第二の避難先についても避難計画に盛り込む方針だ。
 ただ、水戸地裁判決が不備を指摘した「避難計画の実効性」が、第二の避難先によって直ちに担保されるわけではない。
 第一の避難先を巡っては、マイカーを持たない人らに必要なバスの手配が進んでおらず、地震などで避難経路が寸断される懸念もある。第二の避難先は第一より遠方にあり、こうした課題を乗り越えるハードルはさらに高い。
 また、広範囲にわたる大災害では、第一だけでなく第二の避難先も受け入れ不能になる事態を想定しなければならない。
 さらに、避難住民はどの第二の避難先に逃げるか事前に知らされていないため、情報伝達がうまくできなければ、パニックに陥る危険性がある。
 「原発避難はできるか」の著書がある上岡直見・環境経済研究所代表は「避難時のスクリーニング検査や安定ヨウ素剤の配布、避難所の運営などに必要な職員は、避難元の自治体が出すことになるが、あらかじめ避難先が決まっていないために混乱を来す恐れもある。さまざまなケーススタディーをやっておく必要がある」と指摘する。

関連キーワード

PR情報

茨城の新着

記事一覧