癒やしの歌 届け続ける 千葉市のシンガー・ソングライター松尾さん 病院・施設で演奏13年余

2021年4月8日 07時17分

動画で演奏を披露する松尾さん=本人提供

 「命」をテーマに歌を作り、病院や福祉施設を中心に演奏をして十三年余−。千葉市中央区のシンガー・ソングライター松尾貴臣(たかおみ)さんが、これまで訪れた施設は全国の延べ約二千八百カ所に上る。新型コロナウイルスが感染拡大する今、自身の活動の先行きも見えないが、「人々の心のよりどころになれば」と、オンラインで歌を届け続けている。 (鈴木みのり)
 「扁平足(へんぺいそく)のため、戦争に行くことを免れたという祖父が生き抜いたおかげで母が生まれ、僕が生まれ、そして娘が生まれた」−。代表曲「へんぺいそく」は、亡くなった祖父への感謝を込めた歌だ。
 長崎県出身の松尾さんは千葉大学への進学を機に千葉に住むように。大学時代はアコースティックギターサークルの活動に没頭し、大学院生だった二〇〇五年にCDデビューした。
 転機は〇六年、末期がんの女性と出会ったことだった。「悔いを残さないよう生きることに決めた」と話す女性を見て「命」を題材に歌うと決めた。翌年から「ホスピタルライブ」と称し、病院や障害者施設、高齢者施設での公演を始めた。利用者に涙ながらに感謝され「必要とされている」と実感した。四十七都道府県で行った約三千五百公演のうち、施設や病院での演奏が八割を占める。
 コロナ感染拡大後、直接訪問するのが難しくなり、収入は例年の二割にまで落ち込んだ。「一年後に生きているかな」と将来への不安がよぎったが、「外部の人の出入りが難しくなった福祉施設や病院の人に喜んでもらいたい」とオンラインで活動を継続。演奏の合間に利用者と画面越しにやりとりをすると弾んだ声で感想を話してくれるなど、これまで以上に交流することができた。
 自身の会員制交流サイト(SNS)で演奏動画の配信も始めた。「歌うことが好きと改めて感じた」と松尾さん。十二月でホスピタルライブ開始から十四年となる。先の道筋が見通せない状況が続くが、「これからもより多くの人に演奏を届けていきたい」

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