<社説>聖火リレー 感染防止へ計画見直せ

2021年4月8日 08時07分
 東京五輪の聖火リレーが、新型コロナウイルス感染拡大のリスク要因になってはいないか。大勢の人出が確実な大都市の繁華街ではコースや通過時刻を変更するなど、抜本的な見直しが必要だ。
 三月二十五日に福島県をスタートした聖火リレーは北関東から中部に入り、現在三重県を通過中。初めての大都市圏となった名古屋市では、市内最大のターミナルJR名古屋駅周辺などで大観衆が密集状態になった。
 そもそもリレーは大会を事前に盛り上げるためのイベントだ。大会直前の今、リレーが感染拡大の一因になってしまったら、七月の大会開催すら危うくしてしまう。
 リレーのコースは、大会延期前の計画で地域の名所や大勢の人が集まる場所が選ばれた。
 しかし、コロナ禍が深刻化したにもかかわらず、計画の基本はほぼ変えていない。著名人の走行区間を少しずらすなどの小手先の対策では、大勢の人出が防げないことが証明された。
 リレーを見ようと集まる感染リスクに加え、観衆がその後、繁華街に繰り出して食事やカラオケによる感染が起きないか心配だ。
 思い出すのがGoToトラベルやGoToイートである。旅行のための移動や一人での食事自体は感染を広げないとしても、マスクを外し、他人と会食する機会が増えればリスクは高まる。専門家が重ねて警告してきたはずだ。
 二月下旬、GoToイートの食事券販売を再開した宮城県では感染者が急増し、三週間で販売停止に追い込まれた。販売再開と感染拡大の因果関係は不明だが、村井嘉浩知事は会見で「再開が気の緩みにつながった」と述べた。
 聖火リレーも同様ではないか。
 まん延防止等重点措置が適用された大阪市を含む府全体で、公道でのリレーを中止するのはやむを得ない。他の大都市でも繁華街を通る計画は大胆に見直すべきだ。縮小を検討している鳥取県の事例も地方都市には参考になる。
 一方、聖火リレーの意義を分かりにくくさせる演出には疑問を呈したい。ランナーを先導するスポンサー企業の派手な広告車の存在である。
 巨額の協賛金を負担する企業が大会応援団の一員であることは理解しても、大音量で音楽を流し、観衆に景品を配るのはやりすぎではないか。ランナーより目立っては本末転倒だ。
 地域の実情に合わせるなど、演出方法の再検討を求めたい。

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