【動画】まるでアリの巣、東京の地下で増殖するハイテク駐輪場に潜入した

2021年4月10日 18時00分

全自動で地下に格納される錦糸町の地下駐輪場(魚眼レンズ使用)

 雑多で窮屈な繁華街の地下で、まるでアリの巣のようなハイテク駐輪場が増殖している。地下式ながら地下に降りる必要はなく、10秒もあれば駐輪できて手軽だ。200台以上を収容できる内部はどうなっているのだろう。自転車に小型カメラを取り付けて〝潜入〟した。(加藤健太)
 JR錦糸町駅(墨田区)の南口から徒歩2分。飲食店ビルに囲まれた広場で、地下へ続く入り口が周囲に溶け込むようにたたずんでいた。そのさりげなさに、通りすがりの人は、まさかこの下に駐輪場が広がっているとは思わないだろう。

地下駐輪場の入出庫ブース=墨田区

 利用者は入出庫ブースに自転車を置いてボタンを押すだけ。ドアが開き、自転車は吸い込まれていった。この間わずか10秒。出庫もICカードをかざすだけ。巻き戻し映像のように自転車が地上に戻ってきた。
 これなら注意深く地下へと下ったり、隣のラックの自転車にハンドルがぶつかったりする煩わしさはない。利用者からは「空いている場所を探す手間が省ける」と喜ぶ声も聞かれた。

◆「アリの巣」にいざ潜入

 取り付けた小型カメラで内部をのぞくと、引き込まれた自転車は旋回しながら降下し、所定の位置に収められた。地下13㍍の円筒形の空間にはラックが放射状に配置され、228台が隙間なく収まるように作られていた。

まるでアリの巣のように地下に広がる駐輪場のイメージ図(技研製作所提供)

 1日あたり10万人以上が乗車するJR錦糸町駅周辺は繁華街が広がり、十分な駐輪スペースを確保しにくい。乗り入れ数に供給が追いつかず、2013年には放置自転車の数が駅別で都内ワーストに陥った。

放置自転車の数が都内ワーストだったころの錦糸町駅周辺の様子(墨田区提供)

 街の美観を保ちたい墨田区は、打開策として真下に延びる最新式の地下駐輪場に目を付け、19年に2基導入した。これを平面で確保しようとするとテニスコート3面ほどの土地が必要だったが、45分の1のスペースで済んだ。

◆導入2年、果たして成果は

 墨田区によると、他の駐輪場と料金設定は同じで、区民は月額2000円。防犯面から高価なスポーツバイクのニーズが高い。導入から2年が過ぎ、放置自転車の数は13年の782台から95台まで減った。担当課長の浮田康宏さんは「最新式の導入も減った要因の1つではないか」とみる。
 納入した建設機械メーカー「技研製作所」(高知市)によると、チャイルドシートが付いたママチャリを含むほとんどの車種に対応しており、前輪にあらかじめ装着するICタグの有無で契約者の自転車かどうかを判別している。入出庫時に誤って人が内部に転落しないよう、安全な位置まで離れてからでないとドアが開かない仕組みになっている。災害時は非常用電源で対応する。

入庫スタートボタンを押すときは自転車から離れ、白線の外側に立つ

 近年、首都圏では錦糸町のような繁華街で相次いで導入され、渋谷、新橋、八王子、千葉、川崎などの各駅で利用されている。技研製作所の他にも手掛けているメーカーもあり、「アリの巣」は増殖の一途だ。都の統計によると、地下駐輪場は150カ所あり、この10年で1.4倍に増えた。

◆600人待ちの新小岩駅でも導入へ

 JR新小岩駅前(葛飾区)も新たに導入が決まった駅の1つだ。区営で約1万台分を設けているが、それでも供給が追いつかず、2020年末時点で600人以上が定期利用を順番待ちしている。
 放置自転車にも慢性的に悩まされ、5日に都が発表した最新の台数ランキングでも赤羽、幡ケ谷、恵比寿、京成立石に次いでワースト5位という結果に。担当課長の竹多誠さんは「毎年のようにランクインしてしまうので減らしていかなければ」と気を引き締めた。約400台が収容できる新しい地下駐輪場のオープンは2022年夏。不名誉なランキングからの脱却へ、切り札となるか。

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