変異株に塗り替わる新型コロナの新規感染 首都圏で5月に7割超か

2021年4月9日 06時00分

英国由来の新型コロナウイルスの変異株(国立感染症研究所提供)

 新型コロナウイルス感染再拡大の要因の一つが、感染力が強い「変異株」の流行だ。大阪府や兵庫県の新規感染者の大半は変異株に感染している。国立感染症研究所によると、関西圏の増加ペースから推計すると、首都圏でも5月初旬には、新規感染者の約7割は変異株に感染している状況になってもおかしくないという。(藤川大樹、小坂井文彦、沢田千秋、原田遼)

◆感染力は1.32倍強く

 厚生労働省によると、6日時点で、ゲノム(全遺伝情報)解析で確認した国内の変異株の感染者は886人。空港検疫での確認を合わせると1038人。このうちの大半を占めるのが英国由来の変異株だ。
 感染研が2月1日から3月22日までの国内の変異株への感染例を分析したところ、英国株は、感染者1人が何人にうつすかを示す「実効再生産数」が従来株と比べて1.32倍と感染力が強かった。
 感染研は4月初めの時点で、大阪府と兵庫県では、新規感染者の約7割がN501Yの変異株に感染したと推定する。N501Y変異は、英国株のほか南アフリカ株、ブラジル株にもある。東京と神奈川、千葉の3都県では現状、N501Yの変異株は全体の1割程度とみられるが、5月1日ごろには75 %を超える可能性もあるという。

◆変異の鍵はアミノ酸

 N501Yとは、どんな変異なのか。ウイルスのタンパク質の501番目のアミノ酸がN(アスパラギン)からY(チロシン)に変わり、スパイクタンパク質が人の細胞と結合しやすくなったとされる。
 南アフリカ株とブラジル株は、484番目のアミノ酸がE(グルタミン酸)からK(リシン)に変化したE484K変異を併せ持つ。この変異はワクチンの有効率を減少させる可能性がある。
 変異株はなぜ生まれるのか。新型コロナウイルスは人の細胞に入り込み、遺伝物質のRNAをコピーさせて増殖する際、一定の割合でコピーミスを起こす。このミスによる変化で、変異株は生まれる。
 昨年1月、国内で初めて感染が確認されたのは中国・武漢系統の株だった。武漢系統の株は消滅したが、同年3月ごろに始まった「第一波」は欧州から流入した株が引き起こした。そして現在、欧州系統の株が、N501Yの変異株に置き換わりつつある。

◆対策は従来通りの徹底を

 変異株は感染力のほか、従来株よりも子どもへの感染が多いという特徴もある。変異株の年代別の感染者をみると、6日時点で10代以下は19.8%だ。
 感染研の脇田隆字所長は「このデータだけで子どもに感染しやすいとは言えない」としつつも、「従来株より少し高いという傾向は見えている」と指摘した。子どもへの感染力が高まっていることが明確になれば、学校の休校措置などが必要になる可能性もある。
 「感染が非常に広がっていて厳しい状況」というのが、日本医師会の釜萢敏常任理事らの認識だ。政府は現在は32%にとどまる新規感染者への変異株PCR検査を40%に引き上げ、監視体制を強化する。
 ただし、求められる感染防止対策は従来株と変わらない。専門家はこれまで通り、人と人との接触を減らし、マスク着用、手洗いを徹底するように求めている。

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