学術会議、改革案を了承 任命拒否のまま違法状態…異論も

2021年4月9日 06時00分
 日本学術会議は8日、都内で幹事会を開き、政府から求められていた会議の在り方について、情報発信力の強化など改革案素案を了承した。一方、会議が推薦した候補者6人の任命拒否の理由を政府が説明しないまま半年が過ぎており、会員からは「違法状態が解消されないまま改革案が進むことに違和感がある」との厳しい声も。違法状態解消を求めながら、組織改革や政策提言を進めるという、悩ましい状況が続いている。(望月衣塑子)

◆「政府の改革要求は論点ずらし」

 任命拒否が発覚した昨年10月以降に浮上した組織形態の見直し問題。会議を国から切り離して独立した法人格に移行させるかが焦点だが、同会議法学委員会幹事の高山佳奈子京大教授は「政府の改革案の要求は、任命拒否の違憲・違法性からの『論点ずらし』。拒否で日本の国際的な信用を損なっている」と批判する。
 任命拒否された6人のうちの1人、岡田正則早稲田大教授は、拒否後も連携会員として「法曹養成と学術法制分科会」のメンバーとして議論に加わるが「政府が会議の求めに応じず、改革議論だけが進むことには違和感がある」と疑問を呈す。

◆「連携会員は暫定措置にすぎない」

 一方、同じく任命拒否された松宮孝明立命館大教授は3月、「法と心理学分科会」など3つの分科会からの要請を受け、特任連携会員として分科会の議論に加わった。
 「会議として政策提言の発信も必要だが、あくまでも欠員のある違法状態の解消が第一で、連携会員は暫定措置にすぎない」と強調する。
 このため、幹事会は1月末、任命されなかった6人を「4月までに任命すること」を政府に改めて要求。並行して「会議のより良い役割発揮に向けて」とする検討作業を進めた。
 昨年12月に幹事会で作成した「中間報告」に関連し、会員アンケートや連携会員・関係学協会へアンケートを実施、3月には会員と梶田隆章会長らとの「意見交換会」も行ったという。

◆梶田会長「選考プロセスを透明化」

 会員の栗田禎子千葉大教授は「会員アンケートや意見交換会では、常に『前提は6人の会員の任命』であることを主張すべきだ、との意見が出た。現行の会議の設置形態は、国際基準を満たしていることも確認された」と話す。
 幹事会後、記者会見した梶田会長は今後の会員の任命について「事前のすりあわせのような行為や、定員を超えた(国への)推薦は考えていない」と述べ、あくまで選考プロセスを透明化して説明責任を果たす考えを示した。

PR情報