<らくご最前線>SWA(創作話芸アソシエーション) 人気公演 感動の余韻

2021年4月9日 07時18分
 三月十日から十三日まで東京・三軒茶屋で全五公演の「SWAクリエイティブツアー IN シアタートラム」が行われ、十二日に足を運んだ。
 SWA(創作話芸アソシエーション)は春風亭昇太、三遊亭白鳥、柳家喬太郎、林家彦いちの新作ユニット。二〇〇四年に旗揚げしてたちまち人気爆発、落語ブームの火付け役となった。
 一一年いっぱいで活動休止したSWAが復活公演を行ったのは一九年十二月。翌二〇年の本格的再始動にはコロナ禍でブレーキがかかったが、今回リベンジ公演が実現した。もともとチケット争奪戦の激しい人気公演、特に今回は二百二十五席の会場で「左右一席ずつ空き」の開催とあって発売と同時に完売。まさしく「瞬殺」だった。
 五公演は同内容で、四人ともネタおろし。彦いちが演じた「恋の山女」は女性柔道家が山のキャンプ場で好きな男性の心を射止めようと繰り広げるドタバタ劇だ。
 喬太郎の「愛犬注意」は組織に追われ犬小屋に隠れたヤクザを、その家の少女が行方不明の愛犬の生まれ変わりと信じる、心温まる噺(はなし)。昇太は江戸を舞台として、ダジャレ好きで煙たがられている算術の名人が主役の「シャレ侍」を披露した。
 これらは今回白鳥が三人それぞれに「こういう噺を」と出した課題に基づいたものだという。
 その白鳥が演じたのは、自身が主役の「桜の夜」。恋に破れ、豪雪地帯に生まれた境遇を嘆く中学時代の自分を、タイムスリップした今の白鳥が「運命は自分で切り開け!」と励ます。だが「もう自分は先が短い」と嘆く白鳥。そんな彼を叱咤(しった)して「作品は残るんだ!」と奮起させたのは、中学生の自分だった…。
 笑いとともに「精いっぱい生きることの大切さ」を描くファンタジー。心地よい感動の余韻が残った。 (広瀬和生=落語評論家)

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