福島第一原発の汚染処理水、政府が海洋放出の方針を決定へ 13日にも関係閣僚会議

2021年4月9日 15時59分

敷地内に処理水のタンクが立ち並ぶ東京電力福島第一原発=3月4日、福島県で、本社ヘリ「おおづる」から

 東京電力福島第一原発で発生した汚染水を浄化処理した後の放射性物質トリチウムを含む水について、政府は海へ放出処分する方針を固めた。関係者への取材で分かった。13日にも関係閣僚会議を開き、正式決定する。漁業など水産業者を中心に「風評被害が避けられない」と放出への反対がある中、事故発生から10年で汚染水対策は新たな段階に入ることになる。(小川慎一)
 政府は懸念が強い風評被害対策について検討を進めており、被害補償の具体化が課題となっている。
 菅義偉首相は7日、全国漁業協同組合連合会(全漁連)の岸宏会長らと官邸で面会し、処理水の処分に理解を求め、「近日中に判断する」と表明していた。
 一方、岸会長は「絶対反対の考えはいささかも変わらない」と、改めて海洋放出反対の考えを明言。水産業者らが懸念する風評被害の対策について「首相から聞いていない」と憤った。
 面会に同席した汚染水対策を所管する梶山弘志経済産業相は7日の記者会見で、「ご理解が得られるよう最善の努力を尽くしたい」と述べた。
 福島第一原発では、事故で溶け落ちた核燃料(デブリ)が残る原子炉への注水などで大量の汚染水が発生。東電は、汚染水をトリチウム以外のほとんどの放射性物質を取り除ける多核種除去設備(ALPS)で浄化処理した水を、構内の大型タンクで保管。その量は125万トンに上り、タンクの数は1000基を超える。
 東電は2022年秋ごろに、計画済みのタンク容量(約137万トン)が満杯になる見通しを示している。海への放出までには設備の整備などに2年程度かかる見込みで、地元漁業者の同意も不可欠となる。処分方針が決まっても、すぐに放出できるわけではない。
 保管する処理水の約7割は浄化が不十分で、トリチウム以外の放射性物質も国の排出基準を超えて残っている。東電は処分に向けて再浄化をする方針で、これまでの再浄化試験では基準を下回る効果が確認されている。

トリチウム(三重水素) 放射能を帯びた水素で、酸素と結合してトリチウム水になる。普通の水と分離するのは技術的に難しく、福島第一原発の汚染水浄化で使っている多核種除去設備(ALPS)では取り除けない。放射線(ベータ線)は比較的弱く、人体に入っても大部分は排出される。放射能は約12年で半減する。

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