なぜ62%なのか 地球温暖化の危機を訴える若者たちがこだわる理由

2021年4月9日 19時21分
 地球温暖化対策の強化を求める高校生や大学生らが学校を休み政府に抗議する「学校ストライキ」が9日、東京や仙台などであった。前週の4月2日に続き2度目。政府が月内に2030年の二酸化炭素(CO2)を主とした温室効果ガス排出削減目標を引き上げるとの報道を受け、東京・霞が関の経済産業省前では、参加者11人のほとんどが「62%」と書いたプラカードを掲げ、大幅な目標引き上げを訴えた。(福岡範行)

ほとんどの参加者が「62%」と書いたプラカードを持った学校ストライキ=4月9日午後12時14分、東京・霞が関の経産省前で

◆国際研究機関の指摘、根拠に

 「62%」は国際研究機関「クライメート・アクション・トラッカー」が3月、温暖化対策の国際枠組み「パリ協定」の目標達成のために日本に求められている削減幅として指摘した数字だ。13年度の排出量から62%減らすことを意味する。達成できなければ、気象災害の激化などが起きると予測されている。
 一方、共同通信は8日、政府が「13年度比45%減」を軸に月内に新たな目標を示す方針を固めたと報じた。現行の「13年度比26%減」より高いが、研究機関の指摘には遠く及ばない。
 学校ストの参加者らは「目標が決まると、それより多い削減は見込みづらくなる」「妥協したような数字。ありえない」と焦りをにじませた。
 経産省前に立った大橋みらどさん(18)=東京都大田区=は、環境保護を意識したファッション企業の立ち上げを夢見て海外留学を準備中。「会社を始めたときに手遅れの状況になっていたら意味がない。目標に向かって勉強できるような未来をつくってほしい」と訴えた。
 夕方、東京・国会議事堂前で行った学校ストには小中学生も参加。埼玉県の中学2年の生徒(13)は「私たちが成長するころには、気候危機は深刻化するかもしれません。未来を変えるには政治の力が必要です」と力を込めた。

◆「45%は最低限」

 企業や自治体、市民団体などで作る「気候変動イニシアティブ」は削減幅を13年比45%以上に引き上げるよう、政府に求めている。事務局の自然エネルギー財団(東京)の常務理事大野輝之さんは「62%減は本来あるべき姿。若者グループと思いは同じだ」と語る。
 ただ、気候変動イニシアティブは現実的に達成できるレベルを検討し、「最初のステップ」として45%以上を目標に置いた。自然エネルギー財団や環境保護団体・世界自然保護基金(WWF)ジャパンの研究によると、この目標達成にも、温室効果ガスの排出が多い石炭火力発電所は30年までにほぼゼロに近づける必要があるという。
 共同通信の報道のように、政府が「13年度比45%減」に目標を引き上げるならば、現状の石炭火力発電所を維持する方針を大幅に転換しなければならない。菅義偉首相は昨年10月、2050年に温室効果ガスの排出実質ゼロを目指すことを宣言している。
 大野さんは「45%は最低限。より高い目標への出発点にして、企業などと政府が互いに高め合う好循環をつくらないといけない」と強調した。
 学校ストライキの発起人で東京都調布市の高校3年山本大貴さん(17)は「学校を休むことには賛否があると思う。削減目標のあり方と一緒に議論してほしい」と呼び掛けた。

関連キーワード

PR情報

社会の新着

記事一覧