2021年版 プロ野球 問題だらけの12球団 小関順二著

2021年4月11日 07時00分

◆主力から育成まで網羅
[評]満薗文博(スポーツジャーナリスト)

 著者に申し訳ないのを承知で書く。正直に言えば、二〇〇〇年版から始まったこの本のシリーズを知らなかった訳ではない。実際手に取ったことがなかった訳でもない。ただ、時間をかけて、全編じっくり目を通したのは、実は通算二十二冊目となる、この二〇二一年版が初めてである。
 ひいき球団をメインに、あとはライバル球団の情勢を知れればそれでよしと、上辺(うわべ)をさらって事足りると思い込んできたのが、これまでの、本書に対する私のスタンスだった。反省を込めてじっくり読ませていただいた。
 しかし、これほどまでに多くの選手名が登場する著書だったことに、まずはあらためて驚嘆する。限られたひいき球団、そのライバル球団に限って、サラリと読み下す時には感じられなかった驚きである。既に華々しいチームの主力はもちろんだが、秋のドラフトで指名され、歩き始めた卵たちが、もらさず紹介される。さらに、詳しく言えば「育成ドラフト」された面々までが解説付きで紹介されている。あるいは、一時代を築きながら、復活を目指す球人たちまでが登場し、否定的な語彙(ごい)が見られない。あるのは、野球への愛である。
 またしても失礼だが、著者が一九八八年以来、三十三年間にわたり、プロ・アマを通じて五千五百試合以上、球場で観戦してきたという事実を私は知らなかった。ハードに聞こえる「問題だらけの12球団」の表題は矜持(きょうじ)なのだろう。私事だが、春夏の甲子園を通算十五年ほど現地取材し、プロ野球担当記者として一年だけ従事したが、キャリアは著者の足元にも及ばない。
 コロナ禍で開幕したばかりの今年のプロ野球ペナントレース。これまた私事だが、応援する中日ドラゴンズを、著者は何と書いているか。「(与田監督は)監督就任後の成績は五位→三位と上がっている。今年のチームは発展途上だが爆発力を秘めているので、優勝争いに加わってもおかしくない」
 手もとに置きながら、より深みのあるプロ野球を楽しみたい一冊である。
(草思社・1760円)
1952年生まれ。スポーツライター。著書『甲子園怪物列伝』など多数。

◆もう1冊

Slugger特別編集『2021 プロ野球写真&データ選手名鑑』(日本スポーツ企画)

関連キーワード

PR情報

本の新着

記事一覧